強風が原因でケーブルカーは止まってしまったけれど、再び無事に動き始めた。
○○「はい・・・・・・けれど、ケーブルカーが動き出してよかったですね」
エドモント「ああ、どうにかご来光には間に合いそうだ」
私とエドモントさんは、ほっと胸を撫で下ろす。
窓の外を見ると、既に空が薄らと明るくなり始めていた・・・-。
・・・
・・・・・・
暫くして、ケーブルカーは展望台へと到着した。
停車をすると、乗客達はご来光を眺める場所を取るために、我先にと慌てて降車をしようとした。
エドモント「○○・・・・・・!」
エドモントさんに手を差し伸べられたけれど・・・-。
(あっ・・・・・・)
急いで降りようとする人達に圧倒され、その手を掴み損ねてしまう。
○○「エドモントさん・・・・・・!」
エドモントさんも人ごみに流されてしまい、距離はどんどん広がってしまう。
私は、ケーブルカーを降りるタイミングを失ってしまい・・・・・・
(結局、最後になっちゃった)
先に降りていたエドモントさんが、私を待ってくれていた。
○○「エドモントさん、ごめんなさい。私が降りるのが遅かったから・・・・・・」
ご来光が眺められる展望台のスペースは、すでに他の人に占められていた。
エドモント「大丈夫だよ。実は、待っている間にすごくいい場所を見つけたんだ」
エドモントさんは胸に手を当て、自信たっぷりに笑ってくれる。
(すごくいい場所?)
エドモント「おいで」
促されるまま、私はエドモントさんについて行くと・・・・・・
・・・
・・・・・・
案内されたのは、展望台にある大きな木の後ろだった。
エドモント「ここに、ちょうど二人だけ入れそうなスペースが見えたんだ」
(大きな木の後ろに、こんなスペースがあるなんて・・・・・・)
エドモント「ご来光もきちんと見えるし、ここでなら二人でゆっくり見ることができる」
○○「すごい・・・・・・! なかなか、ここに気づくことはできないと思います」
エドモント「ありがとう・・・・・・じゃあ、ここでゆっくりご来光を待とう」
○○「はい、そうですね」
私達は横に並び立ち、ご来光を待つことにした。
○○「エドモントさん、来年はどんな一年にしたいですか?」
エドモント「そうだな・・・・・・。 来年は、○○とたくさん思い出が作れたらいいな」
○○「え・・・・・・」
エドモント「俺の国のことももっと知って欲しいし、一緒に行ってみたいところもあるんだ。 もちろん、公務はしっかりやるよ? けど・・・・・・君と過ごす時間も大切にしたい。 そんな一年にできたらいいなって・・・・・・そう思った」
いつになく照れたエドモントさんが、なんだか可愛くて・・・・・・
彼のその表情を見て、私もつられるように頬が熱くなっていく・・・-。
(そう思ってくれているなんて・・・・・・嬉しいな)
○○「私も・・・・・・エドモントさんとたくさんの思い出を作りたいです」
正直に自分の気持ちを告げると、エドモントさんは目を細めて微笑んでくれた。
そして、私の頭にそっと触れ、優しく撫でる。
エドモント「○○は、どこか行ってみたい所はある?」
○○「そうですね・・・・・・悩んでしまいます。 あ、エドモントさんはどこへ行きたいんですか? さっき行ってみたい所があるって・・・・・・」
エドモント「ああ、たくさんあるよ」
そこまで言った後、エドモントさんはいたずらっぽく笑った。
エドモント「けど俺は、○○と一緒ならどこでも楽しいかな」
○○「! 私も・・・・・・です」
エドモントさんの何気ない言葉に、いつも私はときめいてしまう。
ご来光が見えるまで、あともう少し。
空はますます明るくなっていた。
けれど、私の頬もそれに負けないくらい、赤く染まっているだろうと思った・・・-。