太陽7話 二人だけの秘密の場所

強風が原因でケーブルカーは止まってしまったけれど、再び無事に動き始めた。

○○「はい・・・・・・けれど、ケーブルカーが動き出してよかったですね」

エドモント「ああ、どうにかご来光には間に合いそうだ」

私とエドモントさんは、ほっと胸を撫で下ろす。

窓の外を見ると、既に空が薄らと明るくなり始めていた・・・-。

・・・

・・・・・・

暫くして、ケーブルカーは展望台へと到着した。

停車をすると、乗客達はご来光を眺める場所を取るために、我先にと慌てて降車をしようとした。

エドモント「○○・・・・・・!」

エドモントさんに手を差し伸べられたけれど・・・-。

(あっ・・・・・・)

急いで降りようとする人達に圧倒され、その手を掴み損ねてしまう。

○○「エドモントさん・・・・・・!」

エドモントさんも人ごみに流されてしまい、距離はどんどん広がってしまう。

私は、ケーブルカーを降りるタイミングを失ってしまい・・・・・・

(結局、最後になっちゃった)

先に降りていたエドモントさんが、私を待ってくれていた。

○○「エドモントさん、ごめんなさい。私が降りるのが遅かったから・・・・・・」

ご来光が眺められる展望台のスペースは、すでに他の人に占められていた。

エドモント「大丈夫だよ。実は、待っている間にすごくいい場所を見つけたんだ」

エドモントさんは胸に手を当て、自信たっぷりに笑ってくれる。

(すごくいい場所?)

エドモント「おいで」

促されるまま、私はエドモントさんについて行くと・・・・・・

・・・

・・・・・・

案内されたのは、展望台にある大きな木の後ろだった。

エドモント「ここに、ちょうど二人だけ入れそうなスペースが見えたんだ」

(大きな木の後ろに、こんなスペースがあるなんて・・・・・・)

エドモント「ご来光もきちんと見えるし、ここでなら二人でゆっくり見ることができる」

○○「すごい・・・・・・! なかなか、ここに気づくことはできないと思います」

エドモント「ありがとう・・・・・・じゃあ、ここでゆっくりご来光を待とう」

○○「はい、そうですね」

私達は横に並び立ち、ご来光を待つことにした。

○○「エドモントさん、来年はどんな一年にしたいですか?」

エドモント「そうだな・・・・・・。 来年は、○○とたくさん思い出が作れたらいいな」

○○「え・・・・・・」

エドモント「俺の国のことももっと知って欲しいし、一緒に行ってみたいところもあるんだ。 もちろん、公務はしっかりやるよ? けど・・・・・・君と過ごす時間も大切にしたい。 そんな一年にできたらいいなって・・・・・・そう思った」

いつになく照れたエドモントさんが、なんだか可愛くて・・・・・・

彼のその表情を見て、私もつられるように頬が熱くなっていく・・・-。

(そう思ってくれているなんて・・・・・・嬉しいな)

○○「私も・・・・・・エドモントさんとたくさんの思い出を作りたいです」

正直に自分の気持ちを告げると、エドモントさんは目を細めて微笑んでくれた。

そして、私の頭にそっと触れ、優しく撫でる。

エドモント「○○は、どこか行ってみたい所はある?」

○○「そうですね・・・・・・悩んでしまいます。 あ、エドモントさんはどこへ行きたいんですか? さっき行ってみたい所があるって・・・・・・」

エドモント「ああ、たくさんあるよ」

そこまで言った後、エドモントさんはいたずらっぽく笑った。

エドモント「けど俺は、○○と一緒ならどこでも楽しいかな」

○○「! 私も・・・・・・です」

エドモントさんの何気ない言葉に、いつも私はときめいてしまう。

ご来光が見えるまで、あともう少し。

空はますます明るくなっていた。

けれど、私の頬もそれに負けないくらい、赤く染まっているだろうと思った・・・-。

 

 

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