ケーブルカーは、展望台へ向かって走り出す。
混み合った車内で、エドモントさんは私を守るように立っていてくれた。
(エドモントさん、疲れてしまわないかな?)
心配になり、彼に視線を向けると・・・-。
エドモント「見て、○○! 辺り一面雪景色だよ」
エドモントさんは、窓の外に広がる銀世界を、キラキラとした瞳で眺めていた。
○○「本当だ・・・・・・! 綺麗ですね」
エドモント「雪山はとても神秘的だね。まるで別世界に来たような気持ちになる・・・・・・」
○○「あっ、あそこに花が咲いていますね」
雪の中からひょっこりと顔を出している黄色い花を見つけた。
エドモント「本当だ。あれは何という名の花かな?」
私達は、窓の外の景色に夢中になっていると・・・-。
突然、ケーブルカーが大きな音を立てて急ブレーキをかけた。
○○「・・・・・・!」
車内は大きく横に揺れた後、急停車をする。
(どうしたのかな?)
さらに、不安を思う気持ちを助長させるかのように車内の明かりが突如消えた。
○○「!!」
乗客1「何? 一体、何が起きたの!?」
人々はざわめき、車内は騒然とし始める。
(少し怖い・・・・・・)
不安が押し寄せてきて、思わず手が震えてしまう。
エドモント「○○、大丈夫?」
暗がりの中、エドモントさんの優しい声が耳に響く。
○○「少し・・・・・・怖いです」
エドモント「俺につかまっていて」
エドモントさんが、私の耳元でそっとつぶやいた。
その時、温かい掌が私の手を包み込んだ。
○○「エドモントさん・・・・・・」
エドモント「俺は傍にいる。安心して大丈夫だよ」
暗がりの中、その表情ははっきりは見られないものの、私の脳裏には確かに、エドモントさんの優しい笑顔が浮かび上がった。
○○「・・・・・・ありがとうございます」
(不思議・・・・・・エドモントさんが傍にいてくれると思うだけで、安心できる)
手の震えもおさまった頃、車内にアナウンスが流れた。
運転手「乗客の皆様、申し訳ありません。モーターが故障している可能性があります。もう少々お待ちください」
乗員の方々が、ケーブルカーを点検し始める。
乗客2「どれくらい時間がかかるのかな?」
乗客3「故障って直るのか?」
不安を感じ始めた人々の声で車内がざわめき始める。
エドモント「モーターの故障か・・・・・・ご来光に間に合えばいいな」
○○「そうですね・・・・・・」
(展望台から見るご来光は、きっと素敵なんだろうな)
(どうか、無事に間に合いますように・・・・・・!)
エドモントさんと素敵な一年の幕開けを迎えられるように、私は強くそう祈った・・・-。