参道で行われていた屋台を見て回るうちに、
すでにケーブルカーの出発時刻が迫ってきていた。
エドモント「あっという間に時間が過ぎてしまったね。そろそろ乗り場へと向かおうか」
○○「はい、そうですね」
(出発時間まで随分時間があいてしまうと思ったけれど・・・・・・)
私は、エドモントさんが射的でとってくれたバレッタにそっと触れる。
(楽しい時間ってすぐに過ぎちゃうな・・・・・・)
私達は、ケーブルカー乗り場へと急いだ。
けれど・・・-。
ケーブルカー乗り場につくと、大勢の人々が列を成している。
(ここに並んでいる人・・・・・・全員が乗れるかな?)
どちらからともなく黙り込んでしまい、気まずい空気が流れた。
エドモント「○○・・・・・・ごめん」
エドモントさんが、深々と私に頭を下げた。
突然のことで、私は困惑してしまう。
○○「どうしたんですか、エドモントさん・・・・・・!? 顔を上げてください!」
エドモントさんは、おもむろに顔を上げると、小さくため息を吐いた。
エドモント「展望台へは違う手段で向かえばよかった・・・・・・。 皆、ご来光を見るためにケーブルカーを使う・・・・・・何故俺は気づかなかったんだろう・・・・・・」
エドモントさんは悔しそうに顔を歪める。
○○「私、ケーブルカーに乗ってみたかったので、大丈夫です」
エドモント「○○は優しいね」
エドモントさんは申し訳なさそうにつぶやく。
ケーブルカーが到着し、乗り場にいた人々が一斉に乗り込む。
(わっ・・・・・・)
人の波にさらわれてしまいそうになるところを、エドモントさんは私の肩を抱き寄せ、庇うように窓の方へと移動してくれた。
○○「エドモントさん・・・・・・大丈夫ですか?」
エドモントさんは、自らが盾になって、私を人ごみから守ってくれている。
エドモント「ああ、大丈夫だよ。君は気にしないで。 光来山が雪化粧していたから、きっと窓から見える景色も綺麗だろうね。 ほら、そろそろ発車するみたい、一緒に楽しもう」
優しい言葉をかけてくれながらも、押し寄せる人並みからは、しっかりと私を守ってくれている。
いつもより近い場所でエドモントさんの息遣いを感じる。
(胸が・・・・・・)
胸の高鳴りが彼に聞こえてしまわないことを願った・・・-。