第4話 急襲

一晩中、私のそばで雷さんは見張ってくれていた。

(・・・・・・なんだか緊張して、あまり眠れなかった)

雷「起きたか」

ごそごそと布団の中で起き上がると、雷さんがこちらを振り返った。

朝日に照らされた顔は、ほぼ眠っていないというのに疲れすら見せていない。

○○「はい、ありがとうございます」

雷「何だ。よく眠れなかったのか?」

雷さんが起きぬけの私を見て、眉尻を下げる。

(恥ずかしい・・・・・・)

雷「まあ・・・・・・昨日あんなことがあったばかりだから、無理ないか」

○○「でも、雷さんも眠れなかったですよね」

雷「眠った」

○○「え・・・-」

雷「一刻ほど。だが安心しろ。 異様な気配を感じたときには、すぐさま飛び起きることができるよう日頃から鍛えている」

(そ、それは鍛えられるものなの・・・・・・?)

○○「・・・・・・」

雷「どうした。表情が固まっているぞ」

○○「す、すみません。驚いてしまって。 すごいですね」

雷「当たり前のことだ。 いつ何が起こるかわからないからな。 ・・・・・・しかし」

と、不意に雷さんが顔を赤らめて、私から視線を逸らした。

雷「・・・・・・胸元がはだけている。正したほうが良いのではないか」

○○「っ・・・・・・!?」

(わ、私・・・・・・!)

恥ずかしさに、慌てて胸元をかき合わせる。

雷「・・・・・・」

○○「・・・・・・」

気まずい沈黙が、部屋に流れて・・・-。

(恥ずかしい・・・・・・)

雷「弱った・・・・・・」

雷さんが、困り果てたように頭を掻いた。

○○「す、すみません・・・・・・」

雷「いや、俺の方こそすまなかった。そう、女なのだな。お前は」

それから、私達はしどろもどろに会話を交わしていたけれど・・・・・・

そのうち、なんだかおかしくなって・・・・・・目が合ったとき、二人で笑ってしまった。

雷「よし、着替えが済み次第、出発だ」

○○「はい」

雷さんの明るい表情に、こちらまで心が明るくなる。

(雷さんがいつもこんなふうに、笑える国になるといいな)

・・・

・・・・・・

そして出立の時・・・-。

私は、城を出て、雷さんと護衛の方に囲まれながら道中を歩いていた。

(雷さんまで来てくれるなんて)

雷さんは、辺りに気を配りながら、私のすぐそばで歩いてくれる。

 

ー----

雷「よし、では明日まで俺がお前の用心棒になろう。 明日の朝まで、ここで守っていてやる」

ー----

 

(守ってくれてるんだ・・・・・・)

無意識に彼を見つめてしまっていると、視線がぶつかった。

雷「・・・・・・」

○○「・・・・・・」

何と言葉をかけていいかわからず、互いに見つめ合っていたその時・・・。

雷「っ・・・・・・!?」

(えっ!?)

突如、大勢の武装した男達が襲ってきた。

武装兵「承和の者達だな・・・・・・その首、もらい受ける!!」

雷「○○! 俺の後ろに!!」

○○「あ・・・・・・わ、私・・・・・・」

突然の出来事に狼狽していると、雷さんが手を伸ばし、ぐいと私の体を引き寄せてくれた。

雷「しっかりしろ!」

刀と刀がぶつかり合う金属音と、人々の叫声、乱暴な足音。

戦場のような光景に、雷さんの腕の中で身を震わせて数刻・・・・・・

(終わっ・・・・・・た・・・・・・?)

雷さんは、しっかりと私の肩を抱き、大きく荒い呼吸を繰り返している。

雷「・・・・・・怪我人も数名、か」

辺りを鋭い視線で見渡し、雷さんは低い声で言った。

雷「・・・・・・大きな騒ぎにはしたくない。すまないが、一旦俺と城へ戻ってくれるか」

肩を抱かれたまま、雷さんに見下ろされる。

その瞳は、怒りと悲しみで揺れているようで・・・・・・

○○「・・・・・・はい」

深く頷き、彼の瞳を精いっぱい見つめ返した。

雷「行くぞ」

くずおれてしまいそうな足元を奮い立たせ、雷さんに支えられて城へ戻った・・・-。

 

 

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