スタジオ見学を終えて…―。
ウィルさんは、私を城にある客室へと案内してくれた。
ウィル「今日はここに泊まるといいよ」
ぐるりとなんの変哲もない洋室を見渡す。
○○「……お部屋は普通で安心しました」
ウィル「さすがにね! けど君が普通じゃないのがいいなら、そっちに案内するよ?廃屋風コテージとか、呪われたマンション風とか、あと他には……」
○○「だ、大丈夫です」
慌てて左右に首を振ると、ウィルさんは声を出して笑った。
ウィル「冗談だよ、君が本当に嫌なことはしないよ」
優しげな声で言われて、彼から目が離せなくなる。
(最初の印象と全然違って見える……)
今日一日の出来事を思い出す。
少し人とは違うセンスをしているけれど、仕事に対しては真面目で、実は本物の血が苦手……
(ホラー映画は苦手だけど、この人がどんな映画を撮っているのかは、気になる……)
ウィル「どうしたの? 僕のこと見つめたりして」
○○「いえ、その……」
ふっと表情を緩めたウィルさんが、私の手を握る。
ウィル「じゃあ、今日はゆっくり休んで。明日からちょっと最後の仕上げで構ってあげられなくなるけど……君のためにいいものを用意してるから、楽しみに待っててね」
○○「はい、おやすみなさい」
ウィル「おやすみ……」
優しく言い残して、彼は部屋から去っていった…―。