太陽6話 夜も更けて

ウィルさんと一緒のスタジオ見学を終えて…ー。

外に出ると、空にはすっかり星が輝いていた。

◯◯「もうこんな時間だったんですね」

ウィル「楽しくてつい時間でも忘れちゃった?」

◯◯「はい。少し怖かったけど、いろいろ見せていただいて嬉しかったです」

ウィル「僕もだよ、君が今見せてくれてるその笑顔とか、恐怖に歪む顔とか、忘れたくないと思ったね」

くすりと笑って、怪我をしていない方の私の手を取る。

ウィル「久々のいい息抜きになった」

◯◯「ずっと忙しかったんですか?」

ウィル「うん、二年ぐらい、映画作りに没頭してたかな?」

◯◯「そんなに!?」

宿にしているホテルに向かっていると、大きな劇場の前を通りかかった。

何やら大勢のスタッフが設営の準備をしている。

ウィル「そういえば僕の新作は、明日ここでお披露目なんだよ。 あのフィルム、今夜中に仕上げないと……ククッ」

言いながら、ウィルさんが突然笑い出す。

ウィル「ゴメンゴメン、つい君の怖がっている時の顔、思い出しちゃって……」

◯◯「……もう」

けれど、ウィルさんのそんな言葉も、今では自然に受け取れるようになっていた。

ウィル「明日は、楽しみにしていてね?」

◯◯「……はい!」

そして、ホテルの前に到着した。

ウィル「おやすみ、◯◯」

私を見送りに来てくれたウィルさんは静かにそう囁いて……

私がホテルの中に消えるまで、ずっと手を振ってくれていた…ー。

 

 

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