それから数日後…-。
ミリオン「遥か遠くから、ようこそお越し下さいました。 我が国での滞在中は、どうぞごゆるりとお寛ぎください」
あの夜、執務室でミリオンくんの本音を聞いた後も……
公の場に出ると、彼は完璧な王子様としての振る舞いを見せていた。
けれど、来客が去り、ひとたび私と二人きりになれば…-。
ミリオン「あの使者は食わせ者だな。 僕に取り入る形を見せて、この国を配下に置こうとしている」
鋭い観察眼で、各国の目的を見抜いてしまう。
〇〇「そうなんですか? いい雰囲気に見えましたけど……」
素直な意見を述べると、ミリオンくんが苦笑いを浮かべる。
ミリオン「そんなふうだから、〇〇は僕なんかに付け込まれるんだよ」
困ったようなその笑顔は、不器用な優しさを帯びていて……
あの夜、耐えきれずに本音を吐露した彼の、苦しげな瞳を思い出させた。
…
……
その日の午後。
私はミリオンくんに連れられ、街の視察に出かけていた。
〇〇「今日はどこを回るんですか?」
ミリオン「これから福祉施設を訪問して、その後はサロンの音楽会に……」
ミリオンくんと肩を並べ、彼の話に耳を傾けていると…-。
女性「ミリオン様……」
暗い目をした女性が、ふらりとミリオンくんの前に現れた。
ミリオン「貴方は……」
―――――
女性『ひどいですわ……この間は、私だけだと仰っていたのに』
女性『トロイメアの姫ですって? 立場を利用し、ミリオン様に取り入ろうとしているのではなくて?』
―――――
(この人……あの時の!!)
女性「よくも……私に恥をかかせてくれたわねっ……!」
〇〇「!!」
女性がナイフを取り出し、ミリオンくんに向かって斬りかかった。
(危ないっ!)
そう思った瞬間には、ミリオンくんの前に飛び出してしまっていた…-。