光輝の国・シンセア 奏の月…-。
豊かな暮らしを育み、経済成長を続けるシンセアは、今、世界中の人々から最も憧れられている国の一つだ。
ミリオン「トロイメアの姫、ようこそ我がシンセアへ」
世界に居並ぶシンセアで、優れた手腕を発揮しているのが、このミリオン王子だった。
〇〇「ミリオン王子、お招きいただきありがとうございます」
膝を折って挨拶をすると、ミリオン王子が人懐っこい笑顔を浮かべた。
ミリオン「〇〇、そんなに固くならないで。 僕を目覚めさせてくれたお礼がしたくて、君をこの国に招待したんだから」
ミリオン王子は私に歩み寄ると、片膝をついてそっと手を差し伸べる。
〇〇「〇〇に、親愛と感謝を込めて……」
ミリオン王子は私の指先に触れると、手の甲に柔らかく口づけた。
(あ……)
洗練されたその仕草に、思わず心臓が高鳴る。
指先から伝わった熱が、一瞬で頬に集まるのがわかった。
ミリオン王子は、そんな私を上目遣いに見つめ……
ミリオン「……もしかして、こういうの慣れてない?」
わずかに小首を傾げ、そう柔らかく微笑んだ。
〇〇「あ、あの……」
ミリオン「やっぱり、そうなんだ?」
その笑顔を一目見れば、否応なしに心を持っていかれそうになる。
(可愛らしい人なのかと思っていたら、仕草はドキッとするほど艶っぽくて……)
(不思議な魅力を持ってる人……)
ミリオン「耳まで真っ赤だよ。〇〇、可愛いな」
ミリオン王子は立ち上がると、私を見つめて嬉しそうに微笑んだ。
ミリオン「僕達、もっと親しくなれそうだね――?」
キラキラとしたその笑顔の裏に潜むものを、今はまだ知らなかった…-。