太陽7話 大凶の力

空はどこまでも澄んで、おめでたい新年の日を祝福しているように見える。

けれど……

○○「フロストさん、大丈夫ですか?」

私達の周りだけ、不穏な空気が流れているような気がした。

フロストさんは、ぶつけた頭をこすりながら、子ども達に羽根を返しに行く。

フロスト「偶然だろう。気にすることはない。気をつけて遊べ」

フロストさんが羽根を返すと、子ども達はいっせいに頭を下げる。

子ども達「ご、ごめんなさい!!」

フロストさんのこめかみを見ると、小さなたんこぶが覗いていた。

(痛そう……)

○○「何か、冷やすものを……」

フロスト「いや、いい」

フロストさんは私の手を握り引き止める。

フロスト「それより、指先が冷たいな。何か温かいものでも飲もう」

そうして、フロストさんに手を引かれるままに甘酒屋さんの前に到着すると……

甘酒屋「兄さん残念!ちょうど兄さんの前で売り切れだ!」

フロスト「……」

(ど、どうしよう……!)

フロストさんのご機嫌が心配で、私は必死に頭を巡らせた。

(だって、今日は『穏やかな新年』を楽しんでもらうはずだったのに。挽回したい……)

○○「あ、あの!お団子はどうですか?お団子、美味しそうです」

フロスト「……ああ」

(よかった)

○○「あんことみたらしとゴマ……どれにしますか?」

フロスト「アンコとやらにしてみようか」

○○「あんこ、すごく美味しいですよ」

私達は、それぞれにお団子屋さんからお皿を受け取る。

○○「おいしそう。中にあんこが入ってるのかな?」

つとめて明るくそう言って、お団子にかぶりつく。

美味しいあんこのお団子を食べていると……

フロスト「アンコというのは、どれだ」

○○「え?」

フロストさんの手元を覗くと、あんこのお団子のはずなのに、中まで全て真っ白だった。

(あんこが、入ってない……)

フロスト「……」

私は、こっそりフロストさんのおみくじを確認した。

(欲しいものは手に入らないって書いてある……他にも……なくしものをするとか、旅行は危険だとか……)

フロスト「……なるほどな」

(どうしよう……)

フロストさんが冷たく微笑んでいる。

その氷のような微笑みに、周囲の空気までが凍りついていくような気がした…―。

 

 

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