昇ったばかりの太陽が、微かに雪の残る大地をキラキラと照らしている…―。
(ちょっと早かったかな)
元旦の朝、私はフロストさんに誘われて、九曜を訪れていた。
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フロスト「暮れに公務で九曜を訪問し、そのまま新年の休暇を過ごす。お前も来い」
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(公務明けっていうことだよね。疲れて休んでいるかも)
宿の女将さんに案内されてフロストさんの部屋を訪れると、窓辺に座る彼の姿を見つけた。
フロストさんは、机に向かい何かを読んでいるようで、声をかけるのがためらわれる。
(お仕事かな? 後でもう一度来たほうがいいかも)
引き返そうとしたその時…―。
フロスト「……早いな」
フロストさんの低い声が聞こえる。
机の上の書類に目を落としたまま、フロストさんは指先で私に入ってくるように促した。
恐る恐る足を踏み入れ、ふすまを閉じる。
○○「すみません、お仕事でしたか?」
フロスト「早く目が覚めてな。お前が来るのを待っていた」
顔を上げた彼の口元には、微かな笑みが浮かんでいた。
○○「明けましておめでとうございます」
フロスト「……殊勝なことだな。こちらへ」
フロストさんに促され、もう少し傍へと近づく。
すると、彼に手首を掴まれて……
フロスト「今年も、傍に置いてやろう」
耳元で、そう囁かれたのだった…―。