宝石の国・オックス、影の月・・・―。
黄金色の木漏れ日がキラキラと輝いている。
キース王子を目覚めさせたお礼に・・・・・・と国王陛下から招待を受け、
私はオックスの国を訪れていた。
(なんて綺麗なんだろう)
迎えにきてくれた執事さんの後ろを歩きながら、景色の美しさに見とれる。
執事「我が国の夕暮れ時は、美しゅうございましょう」
○○「はい、本当に」
暮れてゆく夕陽を眺めながら、私はふっと目を細めた。
やがて城に到着すると、執事さんが部屋に案内してくれる。
(あれ・・・・・・あの人は)
見覚えのある人影に、足を止める。
??「・・・・・・」
ほんの一瞬目を止めて、すぐに彼は私に背を向けた。
執事「おや・・・・・・。 キース様、姫ですぞ」
執事さんの声に、ほんの少しだけこちらを振り返る。
(やっぱり、キースさんだ)
○○「今晩は、キースさん」
キース「・・・・・・」
今度は私の上を通り過ぎ、キースさんの瞳は執事さんを捉えた。
キース「俺の部屋にシャンパンを。 それから、明日の国議に資料を用意しておけ」
執事「・・・・・・承知いたしました」
執事さんが恭しくお辞儀をする。
この時、私に彼の言葉と、視線が向けられることはなかった・・・・・・