第1話 私を見つめぬ瞳

宝石の国・オックス、影の月・・・―。

黄金色の木漏れ日がキラキラと輝いている。

キース王子を目覚めさせたお礼に・・・・・・と国王陛下から招待を受け、

私はオックスの国を訪れていた。

(なんて綺麗なんだろう)

迎えにきてくれた執事さんの後ろを歩きながら、景色の美しさに見とれる。

執事「我が国の夕暮れ時は、美しゅうございましょう」

○○「はい、本当に」

暮れてゆく夕陽を眺めながら、私はふっと目を細めた。

やがて城に到着すると、執事さんが部屋に案内してくれる。

(あれ・・・・・・あの人は)

見覚えのある人影に、足を止める。

??「・・・・・・」

ほんの一瞬目を止めて、すぐに彼は私に背を向けた。

執事「おや・・・・・・。 キース様、姫ですぞ」

執事さんの声に、ほんの少しだけこちらを振り返る。

(やっぱり、キースさんだ)

○○「今晩は、キースさん」

キース「・・・・・・」

今度は私の上を通り過ぎ、キースさんの瞳は執事さんを捉えた。

キース「俺の部屋にシャンパンを。 それから、明日の国議に資料を用意しておけ」

執事「・・・・・・承知いたしました」

執事さんが恭しくお辞儀をする。

この時、私に彼の言葉と、視線が向けられることはなかった・・・・・・

 

 

第2話>>