アインツさんを待つ間、私は境内を散策する。
(アインツさん、忘れ物は無事に見つかったかな?)
空を見上げつつ、彼のことを思い浮かべていると…―。
アインツ「○○!」
アインツさんの声が聞こえて、私は振り向くと…―。
アインツ「ま……待たせたな!」
彼は手に何かを持ち、息を切らしながら私の方へと走って来た。
○○「大丈夫ですか?」
アインツ「ああ!だ……大丈夫だ!」
○○「忘れ物は見つかりましたか?」
アインツ「ああ……」
アインツさんは膝に手を置き、息を整えようと必死になっている。
その手には、見覚えのない紙袋が握られていた。
(あれ?あんな大きな荷物、アインツさん持ってたかな……?)
不思議に思いながら見ていると、ようやく息が落ち着いたのか、アインツさんが顔を上げた。
アインツ「これを、オマエに!」
○○「私に?」
アインツさんは袋から中身を出す。
それは社に来る途中で見た羽子板だった。
○○「羽子板……」
アインツ「これを、オ……オマエに……!」
○○「私に?」
アインツさんはそれ以上言えずに、顔を真っ赤にさせる。
そして…―。
アインツ「○○、勝負だ!」
○○「え……?」
飾りの美しい羽子板が、太陽の光を受けて、手元で輝いていた…―。