社までやってくると、私達は二人並んでお詣りをした。
アインツ「ムムム……!」
真剣にお詣りしている彼を横目で覗き見る。
(これが終わったら、もうお別れなのかな……)
そう考えると胸に寂しさが押し寄せる。
(アインツさんと一緒にいると、本当に楽しい。この時間がもっと長く続けばいいのに……)
思わずため息が漏れ、私は唇を閉ざした。
アインツ「よし!」
お詣りが終わったのか、アインツさんが顔をあげた。
アインツ「○○はお詣りは終わったのか?」
○○「はい」
アインツ「よし!これで一年安泰だな!」
○○「アインツさん、一緒に来てくれてありがとうございました」
アインツ「それはこっちのセリフだ。一緒にいられてよかった!」
○○「あの……戻る時もお店を見てもいいですか?」
少しでも長く一緒にいたくて、私はそんな事を彼に聞いてみる
アインツ「もちろんだ!」
彼は笑顔で頷く。
けれど、すぐにハッと目を見開いた。
アインツ「いや……その……ちょっと待ってくれ!」
○○「アインツさん?」
アインツ「ちょっと忘れ物をしてきた!」
○○「忘れ物?」
アインツ「そうだ!こ……これは、取ってこないと」
○○「どこに忘れたかわかるんですか?」
アインツ「あ……ああ!わっ、わかる!わかるぞ!オレの第7の能力を使えば!」
○○「じゃあ、帰りながら取りに行かないと……」
アインツ「いや、そうじゃないんだ!」
○○「え……?」
アインツ「○○はここで待っていて欲しい!まだ時間はあるか?」
○○「はい……」
アインツ「それならえっと……」
アインツさんは視線を彷徨わせる。
○○「アインツさん?一緒に行きます」
アインツ「ええ!?あ、それは嬉しいんだが……嬉しいが、困るというか……」
○○「アインツさん、本当に大変なら言ってください」
アインツさんは覚悟を決めたように一度瞳を閉じると、私の肩に手を置いた。
真剣な瞳が私の瞳を射抜く…―。
アインツ「オマエは本当に優しいな!そんなに心配するな!とっ、とにかくここで待っていてくれ!すぐに戻ってくる!光の速さのように一瞬だ!」
そう言うと、アインツさんはその場から走り出した。
小さくなっていく彼の姿を見つめながら、私は熱くなった頬に手を添えた。
(まだ、一緒にいていいんだ……お詣りの効果かな?)
私は社を見上げた。
澄み切った空気が、私の心を軽くしていくように思えた…―。