月7話 生きる理由

真琴「・・・・なら僕は、ここで死ぬよ」

真琴君の声が、頭の中に反響している。

○○「真琴君・・・・?」

何とか声を絞りだして、彼の名前を呼ぶ。

真琴「復讐は僕の生きる意味そのもの。それをやめろって言うんだったら・・・・。 僕にここで、死ねってことでしょ?」

○○「そんな・・・・!」

彼の瞳をすがるように見つめる。

真琴「・・・・くくっ!あはははっ!いいね、その顔。最高!」

○○「・・・・!」

真琴君はくすくすと笑い、やがて顎に手を当てて何かを考え始めた。

真琴「そうだなあ・・・・。 君が代わりになってくれたら、復讐を止めてもいいかも」

○○「え・・・・」

(どういう・・・・こと?)

その言葉の真意がわからずに、何も言えずにいると・・・・

真琴「どうするの?○○」

○○「えっ・・・・」

じれったそうに真琴君が眉をひそめる。

真琴「君が、こいつらの代わりに僕の生きる理由になってくれるのなら。 僕は復讐を止めてもいいよ」

(生きる・・・・理由・・・・?)

真琴君は私の返答を待っていたようだけれど、私は目をまばたかせることしかできない。

真琴「・・・・そう、できないんだ」

やがて痺れを切らせたのか、彼は・・・・

真琴「できないなら・・・・」

腕を折られた男の方に、残忍な笑みを浮かべて向き直る。

男「ひっ・・・・!」

○○「ま・・・・待って!わかった!!」

反射的に、口から言葉が飛び出した。

真琴「ありがとう!○○なら、そう言ってくれると思ってた♪」

この上なく楽しそうに笑って、真琴君がこちらを振り返る。

○○「でも・・・・私、どうすれば・・・・」

真琴「・・・・こういうことだよ♪」

私を見据える彼の瞳が怪しく光る。

その光に捉えられると、私の体は自由を奪われてしまう。

ー----

真琴「・・・・目が合った相手はね、僕の思い通りなんだ」

ー----

真琴「さあ、帰ろうか・・・・」

踵を返して歩き出す真琴君を追うように、私の足が勝手に歩み出す。

(どうして・・・・っ)

真琴「いい顔してるね・・・・大好きだよ、その顔」

私を振り返る彼の表情に、恐怖で顔が青ざめていくことがわかる。

そんな私を見ながら、真琴君は満足げに微笑むのだった・・・・ー。

 

 

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