夜になっても、建物の明かりやたくさんの街灯で、街は煌々と輝いている。
その光の中に真琴君が消えていってしまいそうに思えて、彼の背中を必死で追った。
○○「真琴君・・・・待って・・・・!」
真琴「うるさいなぁ。協力してくれないんだったら、君にもう用はないよ。 さっさと帰りなよ」
冷たく言い放たれる言葉に、胸が痛むけれど・・・・
(真琴君を、放っておけない・・・・)
○○「真琴君・・・・」
名前を呼ぶと、真琴君は私の方を振り返り、射抜くような視線を向けた。
真琴「・・・・何、死にたいの?さっきのでわかったと思うけど、僕といると危ないよ」
○○「そうじゃなくて・・・・」
真琴「死にたいなら・・・・僕が殺してあげるけど?」
○○「・・・・っ」
冷徹な、そしてどこか投げやりな声が私の胸を締めつける。
けれど、そう言う真琴君が、なぜだか泣き出してしまいそうに見えて・・・・
○○「真琴君・・・・」
思わず彼に腕を伸ばした。
真琴「・・・・!」
急に強く腕を引かれ、彼の背後に引き入れられる。
○○「・・・・!」
一台の車がものすごい勢いで、私のいた場所を通り過ぎて行った。
真琴「相変わらず・・・・治安が悪いなあ。 昔はこんなじゃなかったのに」
○○「あの・・・・ありがとう」
真琴「・・・・」
真琴君は何も言わず、その場に立ち尽くしていた。
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真琴「父さんも、母さんも・・・・僕の大切なものを、全部・・・・!僕はこいつらを許さない!父さん達を殺して、のうのうとでかい顔して生きてるこいつらを・・・・。 全員に、死ぬより辛い苦しみを与えてやるんだ・・・・あははははっ!!」
ー----
(私がこんなこと言える立場じゃないことはわかってるけど・・・・)
(このまま復讐を続けたら、真琴君は・・・・)
○○「真琴君・・・・復讐を、やめて欲しい」
勇気を出して彼にその言葉を投げかける。
真琴「君にそんなこと言われる筋合いはないよ。 復讐は、僕の生きる理由だ」
そう言った真琴君の瞳は、虚ろだった。
○○「でも・・・・じゃあどうして、泣きそうな顔をしているの? 真琴君の辛そうな顔は・・・・見たくないよ」
思わず、彼の手を握ってしまう。
当然、振り払われるかと思ったけれど・・・・
真琴「・・・・」
(えっ・・・・)
握っている手に、真琴君の力が微かに込められたことを感じた。
真琴「・・・・母さんも、小さい頃よくこうして手をつないでくれたな」
独り言のように、ぽつりと真琴君がつぶやいた。
○○「・・・・!」
泣いてしまいそうなくらい切なさが込み上げて・・・・
握り返された彼の手を、両手で包み込んだ。
(真琴君・・・・)
真琴「・・・・温かい」
氷のように冷たい彼の手が、少しでも温まって欲しい。
そんな願いを抱きながら、私は真琴君の手をいつまでも握っていた・・・・ー。