カストル『……君は優しい人だね。ありがとう、ポルックスのことを心配してくれて』
―――――
その翌日…-。
カストル「……っ……ポルックス……今は出てこないで……」
医者「カストル様っ!」
王子の部屋の前から、苦しげな声が聞こえてきた。
カストル王子の容態は安定せず、あれから、ゆっくり話すこともできなかった。
―――――
ポルックス『……カストルの負担になることはやめろ』
―――――
(私に、何かできることはないかな……)
すると真夜中にも関わらず、部屋の扉が勢いよく開き……
ポルックス「お前……まだいたのか」
〇〇「え……!?」
ポルックス王子が大股で部屋に上がり込み、驚いて身を起こした私を、再びベッドに押さえつけた。
〇〇「……っ!」
ポルックス「言ったよな? この国から出て行けって」
〇〇「……はい。でも、あなたの力になりたくて…-」
ポルックス「黙れ! 余計なことはするなと言ったはずだ!! どうしてお前はカストルを困らせることばかりする! 俺は……アイツに辛い思いをさせるのは……もうたくさんなんだ」
ポルックスさんの声が、激しく私を責める。
(ポルックスさん……)
―――――
カストル『ううん、それだけじゃない。僕は周りが憎かった。なぜ僕にこんなに期待をするのかって。 いっそ失望された方が、どんなに楽なんだろうと……』
執事『議会の場で暴れたり、街に出ては酒を飲んで喧嘩したり……』
―――――
(全部、カストルさんのため……)
ポルックス「俺の言ったこと、もう一つ覚えてるか?」
〇〇「え……」
ポルックス「忘れたなら、思い出させてやる」
ポルックスさんの手が、私の胸元に伸ばされる。
―――――
ポルックス『これ以上、余計なことをするな。 さもないと…-。 お前も、俺がめちゃくちゃにしてやるよ……!』
―――――
〇〇「やめて……!」
ポルックス「お前が悪いんだ、言うことを聞かないからな」
頭の上に縫い止められた両手は、あの時と同じようにびくとも動かない。
やがて胸元のリボンが解かれそうになって…-。
〇〇「カストルさん!!」
思わず、私はその名前を呼んでいた…-。