陣形のことでメンバーがもめてしまい、カノエさんのチームはバラバラになってしまった。
今日の練習は、カノエさん一人が黙々と励んでいる。
カノエ「……はぁっ!」
大きく声かけをしながら、決して手を抜こうとしないカノエさんを、私はやきもきしながらも、じっと見守ることしかできない。
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カノエ「そのたびにどんな祭りになるかは、その年の王族の色がでる。 けど、見栄や競争意識ではなく、どの王族も祭りを盛り上げたいという一心でやっていることだ。 自分も民の全員が楽しめるような祭りにしたい。だから必ず成功させる」
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(どうしても……成功してほしい)
カノエ「……っ!」
今までよりも一層動きにキレが出てくるカノエさんをじっと見つめると、その気持ちが強くなる。
(どうしたらいいんだろう……)
私はただ、熱い視線をカノエさんの踊りに注ぐことしかできなかった…―。
カノエさんは、森だけではなく部屋に戻ってからも、練習を続けている。
カノエ「……」
そっと覗いた彼の真剣に考え込む表情に、私は静かに扉を閉じて去る。
(今は、邪魔をしないようにしないと……)
少しもどかしさを感じながらも、私は心の中で彼に声援を送り続けた…―。