それから私達は、毎日のように海辺で朝から晩まで、ふたりのおしゃべりを楽しんでいた。
サラサ「また……あっという間に時間が過ぎちゃったね。 明日も、会えるよね?」
〇〇「うん」
そして今日もまた、私はサラサくんと楽しい時間を過ごしている。
だけど…ー。
〇〇「あ、あの……サラサくん?」
サラサ「え?なに?」
〇〇「そんなに触られると……」
サラサくんはここ最近、遠慮なく私の体のあちこちを触ってくる。
(嫌じゃないんだけど……)
サラサくんに触れられると、嬉しいだけではなくて、恥ずかしい気持ちが押し寄せて、私の頬はどんどんと熱を持っていってしまう。
サラサ「あ……ここは触っちゃだめだった?」
サラサくんのひんやりとした手が、私の頬にそっと触れる。
〇〇「だ……駄目ってことはないんだけど……」
すると…ー。
私が拒否をしなかったからか、その手が少しずつ下へとおりてきた。
(え……!)
彼の手が、私の首筋を優しく撫でて……
(くすぐったい……)
サラサくんが私の顔を覗き込んでくるけれど、私は彼と視線を合わせることができなかった。
サラサ「そうだ、人間って……泳げるんだよね?」
〇〇「お……泳げるけど、中には泳ぐのが苦手な人がいて……」
返事を聞いているのかいないのか、今度は私のふくらはぎに手を添える。
〇〇「!」
サラサ「温かい……本当に人間は温かいね。なんだか触っていると気持ちがいい」
〇〇「そ、そう……?」
サラサ「あ……ここが一番温かいかも」
そう言って、サラサくんは私の内腿に触れた。
〇〇「っ……」
思わずその手を振り払ってしまうと、サラサくんが驚きに目を丸くした。
サラサ「え?……だ、大丈夫?」
〇〇「……ご、ごめん」
謝ることしかできずに、赤くなる頬を手で押さえた。
サラサ「人間の体は、温かいだけじゃなくて、すごくすべすべしてる……。 人魚は鱗があるから、こんな感触じゃないんだ。 ごめん、驚かせないように気を付けるから、もう一度……」
サラサくんは私の足をまじまじと見つめながら、上から下にゆっくりと撫でる。
サラサ「〇〇、足くすぐったいの?」
〇〇「ううん、そういうことじゃなくて……」
サラサくんは口ごもる私を見て、不思議そうに見つめている。
(天然なのか……わざとなのか……)
そんなことを考えていると、不意に手が握られる。
サラサ「〇〇も僕の体触ってみて」
〇〇「え…ー」
その言葉にドキドキしていると、サラサくんは私の手を握り、自分の胸にそっと当てた。
〇〇「あ……」
少し速い、彼の動季が手のひらに伝わってくる。
(サラサくんも、ドキドキ……してる?)
サラサくんの胸の鼓動を感じて、その目を見つめると、優しい微笑が返ってくるのだった…ー。