海賊の国・アンキュラ輝の月…-。
晴れ渡った青い空が透明度の高い海に反射して、美しさを際立てていた。
私は海辺で見つけた指輪に向かい、両手を組んで目を閉じる。
〇〇「……っ」
まばゆい光が、辺りを包み込んだ。
(まぶしい…)
次の瞬間、目を開けると、砂浜で倒れていたのは…-。
??「……うっ……」
〇〇「大丈夫ですか!?」
彼に駆け寄り、私は驚きのあまり息を呑んだ。
その王子様には足がなく、かわりに美しい鱗で覆われた尾びれがある。
(人魚…?)
絵本でしか見たことがないその姿を、私はまじまじと見つめてしまう。
端正な顔立ちに、長いまつげがかすかに揺れている。
(何て結麗な人……)
すると、透きとおった陶磁器のような瞳が突然ぱちりと瞬いた。
??「……あ!」
彼は慌てた様子で砂浜に手をつき、次の瞬間には、海の中へと飛び込んでしまっていた。
〇〇「あ……あの!」
私が声を上げると、一度だけ振り返り……
??「……お前が、助けてくれたのか?」
少し離れた場所で海面から顔を覗かせ、彼は私のことをじっと見つめている。
〇〇「はい、あなたは……?」
サラサ「……僕の名前は、サラサ。 助けてくれてありがとう」
それだけ言うと、海の中へと潜ってしまい、あっという間に姿が見えなくなってしまったのだった…-。