第1話 人魚の王子様

海賊の国・アンキュラ輝の月…-。

晴れ渡った青い空が透明度の高い海に反射して、美しさを際立てていた。

私は海辺で見つけた指輪に向かい、両手を組んで目を閉じる。

〇〇「……っ」

まばゆい光が、辺りを包み込んだ。

(まぶしい…)

次の瞬間、目を開けると、砂浜で倒れていたのは…-。

??「……うっ……」

〇〇「大丈夫ですか!?」

彼に駆け寄り、私は驚きのあまり息を呑んだ。

その王子様には足がなく、かわりに美しい鱗で覆われた尾びれがある。

(人魚…?)

絵本でしか見たことがないその姿を、私はまじまじと見つめてしまう。

端正な顔立ちに、長いまつげがかすかに揺れている。

(何て結麗な人……)

すると、透きとおった陶磁器のような瞳が突然ぱちりと瞬いた。

??「……あ!」

彼は慌てた様子で砂浜に手をつき、次の瞬間には、海の中へと飛び込んでしまっていた。

〇〇「あ……あの!」

私が声を上げると、一度だけ振り返り……

??「……お前が、助けてくれたのか?」

少し離れた場所で海面から顔を覗かせ、彼は私のことをじっと見つめている。

〇〇「はい、あなたは……?」

サラサ「……僕の名前は、サラサ。 助けてくれてありがとう」

それだけ言うと、海の中へと潜ってしまい、あっという間に姿が見えなくなってしまったのだった…-。

 

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