スラムの男の子のことを伝えると、エドモントさんの表情がさっと変わった。
けれどすぐに、いつもの表情に戻って……
エドモント「君は本当に、彼らのことをいつも気にかけて……。最初からそうだっだよね。この国へ来てすぐに、スラムの人達と関わっていた。君はきっと、優しすぎるんだね」
(違う。いつもの表情なんかじゃない……いつもより、すごく冷たくて……エドモントさん、どうして?)
エドモント「そんなに気になる?彼らのこと」
冷たいだけではない、悲しみに揺れる瞳に胸が苦しくなった。
○○「どうして……どうしてですか。エドモントさんも、本当は気にかけているんですよね?」
エドモント「……」
エドモントさんが押し黙った時…―。
男の子「王子様ーっ!エドモント王子様……っ!」
あの男の子の声が近づいてきた。
振り返ると、息を切らせながらこちらへ走ってきている。
(エドモントさんを見つけて?)
兵士「おい、王子に近づくな!」
エドモント「やめろ」
男の子を追い払おうとした兵士さんを、エドモントさんは手で静かに制した。
男の子「どうかお願いですっ!僕のおかあさん、たすけて……。大変なんだ。すごく病気が悪くて……だからここをなくしたりもしないで!お願い、たすけてください!!」
(こんな小さな男の子まで、取り壊しのことを知って……)
男の子は必死になってエドモントさんに取すがる。
そんな男の子の様子を、エドモントさんは厳しい眼差しで見下ろしていた…―。