彼の納得するドレスは見つからないまま、夕日差すメゾン・マッドネスへ戻ってきた。
結局、帽子屋さんは次に会う時までにドレスを見立てておくと約束して、
その日は私を宿へと送ってくれたのだった…ー。
その三日後…ー。
再び彼の店を訪れると、ちょうど店の前で郵便屋と鉢合わせた。
○○「帽子屋さん、お荷物のようです」
マッドハッター「これは素晴らしいタイミングでお越しくださいましたね」
彼が華やかに笑い、その小包を開けると、中からシンクのドレスが滑り出した。
○○「これは?」
マッドハッター「私が君のためにデザインしたドレスです。 生憎帽子以外は専門外なので仕立てには人の手を借りましたが…さあ、試してみてください」
○○「あ、あの…?」
マッドハッター「さあお嬢さん…早く」
彼に言われるがまま、試着室でドレスに着替えて扉を叩いた瞬間…ー。
マッドハッター「素晴らしい…!!」
帽子屋さんは手を打ち鳴らして妖しく私に微笑んだ。
マッドハッター「…考えてみれば、クリスマスを知らないワンダーメアで相応しいドレスなど見つかるはずなかった。 ならば、私が思うクリスマスを作り上げる…それでよかったのです」
そうつぶやきながら一歩近寄り、その長い指先で私の髪を一房すくう。
マッドハッター「ではさっそくそのドレスに似合う帽子を仕立てて差し上げましょう」
わざとらしく音を立てて私の髪に口づけを落とす彼に、私の鼓動は高鳴り始めるのだった…ー。