ネメァの後を追い、私はヘラクレスの元へ走った。
やがて、空が朝日に燃えるように赤く輝き始めた。
(ヘラクレス……)
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ヘラクレス「ごめん……」
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あの時の苦しそうな表情を思い出して、胸が締めつけられる。
(あのまま一人になんてさせられない)
深い木々を抜けると、私はその光景に息を呑んだ。
〇〇「すごい……」
私の目に、朝焼けに輝く黄金の林檎の木が飛び込んできた。
まるで金の鐘が飾られているように、金色の林檎が艶やかに朝日を弾く。
ネメァ「ミィ~」
その木々の間をネメァと共に進んで行くと、生い茂る葉の奥に、小さな家を見つけた。
(あの家は……?)
今はだれも住んでいないのか、荒れた外観にツタが這っている。
手入れをされていない屋根や壁が、ところどころ腐り落ちてしまっていた。
ネメァ「ミィ~」
一声鳴くと、ネメァは迷いなくその家へと向かっていく。
〇〇「ここにヘラクレスがいるの?」
ネメァは私の方を一度振り返ると、そのまま家の中へ入って行った。
〇〇「待って!」
私は後を追って、その家の扉を開いた。
ぎいっと鳴る鈍い音が、不安をさらに掻き立てた…―。