〇〇『イリアさん、何か展示の参考になるものはありましたか?』
イリア『そうですね……いろいろと見て回り、楽しく過ごせました。ありがとうございます』
そしてついに迎えた、文化祭当日…-。
私はイリアさんの展示会の準備を手伝っていた。
イリア『〇〇様にお見せした光の魔術をベースにしたものを展示することにしました』
イリアさんが作成した展示物は、どれもわかりやすく、興味をひくものばかりだった。
(さすがイリアさん……)
その手を止めて、思わず見入ってしまいそうになる。
イリア「……」
突然、イリアさんの準備をする手が止まった。
〇〇「イリアさん、どうされましたか?」
イリア「たくさんの人が来てくれるといいのですが……」
イリアさんは、深いため息を吐く。
〇〇「こんなに素敵な展示なら、きっと大丈夫ですよ」
不安そうに展示を見つめるイリアさんに、私は笑いかけた。
イリア「しかし、他の方々のように華やかで楽しい感じのものではないですし……」
その時、廊下に人影が過って…-。
(誰か来た……!?)
私とイリアさんは顔を見合わせ、その人影が近づいてくることに期待した。
人影は教室の前に立ち、扉に手をかけて…-。
執事「イリア様、ご機嫌いかがでしょうか?」
イリア「……!」
教室に入ってきたのは、イリアさんの城の方々だった。
執事「イリア様のお姿を探しておりました」
イリア「ええ……〇〇様が手伝ってくださっているからとても助かっています」
一瞬、落胆の表情が過ぎるものの、イリアさんは丁寧に執事さん達に展示の説明をしている。
(もっと、たくさんの人達に見てもらいたいな)
そんなことを思いながら、私は熱心に話し込むイリアさんの背中を見つめていた…-。