海賊の国・アンキュラ 輝の月…-。
夏を一緒に過ごさないかと陽影さんに誘われ、私は胸を弾ませながらアンキュラにやってきた。
陽影さんが待ち合わせに指定した場所は、この国のリゾートアイランドにあるコテージだった。
陽影「よう、○○! 待ってたぜ」
久しぶりに会った陽影さんは、快活な声で私を呼びながら、駆け寄って来た。
陽影「元気そうだな」
夏の日差しのように明るかった表情が、微かに愁いを帯び、目元が嬉しそうに細められる。
私との再会を喜んでくれているのが伝わってきて、嬉しくて私も笑みをこぼした。
○○「陽影さん……」
陽影「おいおい、会った瞬間からしみったれた声出してんなよ」
陽影さんは照れて顔を背けながら、私のことを軽く小突いた。
ちょっと乱暴な言葉遣いは相変わらずで、私は苦笑しながら陽影さんのことを見上げた。
陽影「……そうだ○○。ちょっとこっち来てみろよ!」
陽影さんは私の腕を引くと、広いロビーを横切って、海に面した大窓の前へと連れて行った。
窓の向こうには光り輝く海が広がっていて……
○○「……すごい……!」
煌めくエメラルドに見とれながら、私は息を呑んだ。
陽影「この辺りの海は、世界で一番綺麗なんだ! 海の中には海底国・アクアリア、人魚の国・ローレライ、珊瑚の国・コラリアってのがあって…。 海底人や人魚が住んでるんだぜ」
○○「海底人に、人魚まで…!?」
陽影「運がいいと、海上に上がってくる人魚を見られるらしいぞ」
○○「いいなあ…!」
驚きと感動で子どものようにはしゃぐ私を見て、陽影さんが満足そうに頷く。
陽影「オマエを呼んで正解だったな」
(そういえば、どうして私をこの島に呼んでくれたんだろう?)
普段は男友達と騒ぐことが好きな陽影さんが、私を招待してくれたことに、ふと疑問が過った…-。