月6話 獣化

ヴァイリーさんの体が、白くまぶしい光に包まれる…―。

懸命に手を伸ばそうとするものの、強い風に押し戻されて近づけない。

(……っ!)

やがて光が消え、そこから現れたのは……

○○「ヴァイリー……さん?」

そこにいたのは、さっきまでのヴァイリーさんではなかった。

全身を赤黒い毛が覆い、耳が鋭く伸びている。

漆黒に支配された瞳には、戸惑う私が映し出されている。

ヴァイリー「グルルル……」

荒い息遣いをする口から、牙がむき出しになっている。

○○「ヴァイリーさん……」

私は立ちすくみ、名前を呼ぶことしかできなかった。

ヴァイリー「来るな……!早くここから……立ち去れ」

○○「ヴァイリーさん、もしかして呪いが……!!」

そのとき、彼は突然凄まじい速さでこちらをめがけて駆けだした。

(……!)

次に見たものは、頭上から爪を私に振りおろそうとする、ヴァイリーさんの姿だった…―。

 

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