オレの呪いが解けて、しばらく経ったある日…―。
オレは○○を連れて、再びあの森を訪れていた。
ヴァイリー「あのさ……まだちゃんと言ってなかった」
呪いが解けたこの場所で、オレは○○にしっかりとした声でそう告げる。
ヴァイリー「呪いを解いてくれて、ありがとな」
心からの感謝の気持ちを口にし、オレはまっすぐに彼女を見つめた。
○○「私は……何もしていません」
ヴァイリー「真実の愛が呪いを解く……」
ヴァイリー「ヴァイリーさん、やっぱりそのこと知って……?」
ヴァイリー「ああ……けど、あんなおとぎ話みたいなの信じられなくてさ。けど 一つだけ聞きたいことがある。 あのさ、オマエがあの時言おうとしたことって……」
○○「……っ!」
―――――
○○『私は……ヴァイリーさんのことが……』
―――――
○○「え、えっと……」
ヴァイリー「……情けないな、オレ。オマエに言わせようとして」
恥ずかしそうに口ごもる彼女を見たオレは、少しだけ反省する。
(こういうのは、男のオレから言わなきゃ駄目だよな)
そんなオレを、○○は不思議そうに見つめていた。
ヴァイリー「わりぃ、ちゃんと言わなきゃな」
彼女に謝った後、一呼吸置く。
そうしてオレは…―。
ヴァイリー「オレ、○○のことが好きだ」
○○「……!」
はっきりと、正直な気持ちを○○にぶつけていた。
ヴァイリー「……諦めてたんだ。獣化したら独りになるって決めてた。けど……。 光の中で○○に呼ばれた時、一緒にいたいって思っちまった」
○○「……」
ヴァイリー「オマエ何かと世話がかかるし。見てないと……心配なんだよ」
一気に想いを告げたところで、オレは照れくささから頭を搔く。
○○「ヴァイリーさん……」
(……)
オレの告白を聞いた○○は、じっとこちらを見つめながらオレの名前をつぶやく。
ヴァイリー「○○は……オレのことどう思ってる?」
(もしオレの考えが、間違いじゃないのなら……)
(オマエも、オレのこと…―)
恥ずかしさと緊張から、オレは思わず顔を伏せてしまう。
するとそんなオレに向かって、○○が一歩踏み出し……
○○「……私も、ヴァイリーさんが好きです」
(……!!)
穏やかな風が吹き、木々達がくすぐったそうに揺れ動く。
ヴァイリー「……よかった。 違ってたらどうしようって、すっげぇ不安だった。 オレさ、こんな情けない奴だけど……いいんだな?」
○○「……はい」
オレは夢みたいな気分で、愛しい○○の頬にそっと手を触れる。
そして……ゆっくりと唇を重ね合わせた。
○○「……んっ」
○○から甘い吐息が漏れ、顔が熱を帯びる。
するとそれを聞いたオレの体も、かぁっと熱を帯び…―。
ヴァイリー「……後悔すんなよ?」
オレが○○の唇を指でなぞると、彼女は少し潤んだ目でオレを見つめていた。
○○「ヴァイリーさん……」
ヴァイリー「……さん、はいらねぇよ」
○○「ヴァイリー……」
オレは何度も口づけを繰り返す。
(これから何が起ころうとも……)
(オレはオマエを、絶対離さねぇ)
そんな想いを込めながら、胸の中の○○をぎゅっと抱きしめた。
○○「……この気持ちが、真実の愛だったんでしょうか?」
ヴァイリー「さぁな。でも……。 オレはもう○○を、二度と離したくない」
先ほど胸にした決意を、言葉にして彼女に告げた。
(……)
○○の頭をそっと撫で、柔らかな髪の感触を楽しむ。
(……オレはオマエが、本当に大好きだ)
自分とは全然違う彼女の小さく華奢な体を、壊してしまわないように気をつけながら夢中で抱きしめる。
森は一層美しく輝き、オレ達を祝福してくれているようだった…―。
おわり。