太陽が高く昇り、よく晴れた翌日…―。
ヴァイリーさんに誘われ、再びあの森を訪れていた。
穏やかな木漏れ日に包まれるけど、私は胸の高鳴りを隠せない。
(やっぱり二人きりだと緊張しちゃう……)
ヴァイリー「んだよ、ヘンな顔して」
ヴァイリーさんはそう言って、私の額に指を弾いた。
○○「……っ!もうっ……痛いじゃないですか!」
ヴァイリー「ハハッ……オマエはさ、元気なのがいいよ」
(どうしよう……ヴァイリーさんの笑顔を見ると、胸が苦しい……)
しばらく進み、空から光が一層強く降り注ぐ場所へ着いた。
(ここは……)
ヴァイリー「呪いが解けた場所だ。あのときは夜だったからな。あのさ……まだちゃんと言ってなかった」
ヴァイリーさんは私に向き直り、しっかりした声で告げた。
ヴァイリー「呪いを解いてくれて、ありがとな」
彼の真っ直ぐな視線が私を見つめ、胸の鼓動がさらに激しくなる。
○○「私は……何もしていません」
ヴァイリー「真実の愛が呪いを解く……」
○○「ヴァイリーさん、やっぱりそのこと知って……?」
ヴァイリー「ああ……けど、あんなおとぎ話みたいなの信じられなくてさ。けど、ひとつだけ聞きたいことがある。あのさ、オマエがあの時言おうとしたことって……」
○○「……っ!」
ー----
○○「私は…ヴァイリーさんのことが……」
ー----
○○「え、えっと……」
ヴァイリー「……情けないな、オレ。オマエに言わせようとして」
ヴァイリーさんは口ごもる私を見て、恥ずかしそうに微笑んだ。
(えっ……?)
ヴァイリー「わりぃ、ちゃんと言わなきゃな」
一呼吸おいて、彼ははっきりとその言葉を口にした。
ヴァイリー「オレ、○○のことが好きだ」
○○「……!」
(ヴァイリーさんが、私を……?)
ヴァイリー「……諦めてたんだ。獣化したら独りになるって決めてた。けど……光の中で○○に呼ばれたとき、一緒にいたいって思っちまった」
○○「……」
ヴァイリー「オマエ何かと世話がかかるし。見てないと……心配なんだよ」
ヴァイリーさんは照れくさそうに頭を掻く。
○○「ヴァイリーさん……」
(……嬉しい)
ヴァイリー「○○は……オレのことどう思ってる?」
(私は……)
あのとき、とっさに言おうとした言葉がよみがえってくる。
答えはもう、決まっていた。
私は、恥ずかしそうに顔を伏せるヴァイリーさんに近づいた。
○○「……私も、ヴァイリーさんが好きです」
穏やかな風が吹き、木々たちがくすぐったそうに揺れ動く。
ヴァイリー「……良かった。違ったらどうしようって、すっげぇ不安だった。オレさ、こんな情けないヤツだけど……いいんだな?」
○○「……はい」
ヴァイリーさんは私を見つめ、愛おしそうに頬に手を触れた。
そして……ゆっくりと唇を重ね合わせた。
○○「……んっ」
甘い吐息が漏れ、顔が熱を帯びる。
ヴァイリー「……後悔すんなよ?」
ヴァイリーさんは、私の唇を指でなぞりながら、悪戯な笑みを浮かべた。
○○「ヴァイリーさん……」
ヴァイリー「……さん、はいらねぇよ」
○○「ヴァイリー……」
何度も繰り返される口づけ。
ヴァイリーは私を腕の中に閉じ込め、決して離そうとはしなかった。
○○「……この気持ちが、真実の愛だったんでしょうか?」
ヴァイリー「さぁな。でも……オレはもう○○を、二度と離したくない」
(熱い……)
優しく頭を撫でてくれる、ヴァイリーの手の熱が心地よい。
(……ヴァイリーが、好き)
何度も私を守ってくれた、たくましくてあたたかい腕に抱かれ、時が過ぎることを忘れていった。
森は一層美しく輝き、私達を祝福してくれているようだった…―。
おわり。