太陽5話 もう少しだけ、デートを

その後…―。

私はマルタンさんの好意で、数日ヴァン・ブリュレへ滞在することになった。

彼は国一番のブランデーの蒸留所に連れて行ってくれたりして、楽しいひと時は、あっという間に過ぎていった…―。

そして最後の日…―。

二人でショッピングをした後、カフェテラスでゆったりとした時間を送っていた。

マルタン「明日には君のその笑顔が見れなくなってしまうかと思うと……寂しいね」

○○「マルタンさんと過ごしていると楽しくて……あっという間でした」

マルタン「俺もだよ」

屈託なく笑う彼に、胸の奥が少し切なくなり始める。

(もっと、一緒にいたかったな……)

マルタン「……そう、寂しそうな顔をするもんじゃないよ」

マルタンさんが私を見て、苦笑する。

マルタン「そうだ。ちょっと待っていてくれるかい?すぐに戻るから」

○○「? はい……」

(どうしたんだろう?)

マルタンさんが席を外して15分後…―。

マルタン「待たせたね。さ、今日はそろそろ戻ろう。明日は早いからね」

○○「はい……」

戻ってくると、彼はそのまま、カフェテラスから出ようとする。

(もっと、一緒にいたかったな……)

私をエスコートしてくれる彼の背中を見て、胸の中でそうつぶやいた…―。

 

<<第4話||太陽最終話>>