その後…―。
私はマルタンさんの好意で、数日ヴァン・ブリュレへ滞在することになった。
彼は国一番のブランデーの蒸留所に連れて行ってくれたりして、楽しいひと時は、あっという間に過ぎていった…―。
そして最後の日…―。
二人でショッピングをした後、カフェテラスでゆったりとした時間を送っていた。
マルタン「明日には君のその笑顔が見れなくなってしまうかと思うと……寂しいね」
○○「マルタンさんと過ごしていると楽しくて……あっという間でした」
マルタン「俺もだよ」
屈託なく笑う彼に、胸の奥が少し切なくなり始める。
(もっと、一緒にいたかったな……)
マルタン「……そう、寂しそうな顔をするもんじゃないよ」
マルタンさんが私を見て、苦笑する。
マルタン「そうだ。ちょっと待っていてくれるかい?すぐに戻るから」
○○「? はい……」
(どうしたんだろう?)
マルタンさんが席を外して15分後…―。
マルタン「待たせたね。さ、今日はそろそろ戻ろう。明日は早いからね」
○○「はい……」
戻ってくると、彼はそのまま、カフェテラスから出ようとする。
(もっと、一緒にいたかったな……)
私をエスコートしてくれる彼の背中を見て、胸の中でそうつぶやいた…―。