リカ「まったく……危機感ないのはどっちだよ」
不意にリカに壁際に追い詰められて、胸が早鐘を打ち始める。
○○「リ、リカ?」
リカ「……」
至近距離で私を見つめる彼の視線に耐えきれず、逃げようと身をよじろうとすると…―。
○○「……っ!」
大きな音がして、目を見開いた。
リカ「……」
音の正体は、壁に叩きつけられたリカの足だった。
彼の左足が、私の逃げ道を塞ぐように壁を押さえている。
○○「な、何……?」
リカ「お前の方が、よっぽど危機感ないんじゃねえのって言ってるんだよ」
○○「え…―」
リカ「男の部屋に、こんな夜にくるとかさ……」
突然の出来事に上手く言葉が出なくて、私は顔を真っ赤にすることしかできない。
リカ「それとも、俺にもう一度会いたかったって、そういうこと?」
小さな声で、リカは私にそう問いかけた。
○○「……」
彼の顔がさらに近づいて…―。
心臓が早鐘を打つ中、肩を縮こまらせて彼を見上げる。
リカ「おい、怯えてるんじゃねえよ……俺の目を見ろ」
そこにあったのは、感情を持て余しているような、黄金色の瞳……
(綺麗……)
部屋の灯りに照らされて、焔が揺らめくように虹彩が光を反射する。
リカ「○○……俺は、お前を見てると……」
(今、初めて私の名前を呼んでくれた?)
嬉しさに胸がときめきを覚えたかと思うと……
次の瞬間、私の唇はリカによって奪われていた…―。
○○「……っ」
乱暴な言葉遣いとは裏腹な、優しいキス。
だけど唇から伝わる温度は熱く、ショコラみたいに心がとろけてしまいそうに情熱的で……
○○「んっ……リカ……」
私はそのまま甘い彼の口づけに身を委ねた。
重なりは徐々に深く、そして激しいものに変わっていって……
○○「……っ」
どれくらい時間が経ったかわからなくなった後、ようやく唇が解放された。
リカ「拒まないんだ?」
リカが悪戯っぽい笑みを浮かべる。
それまでに見たことのない彼の一面を目の当たりにして、私は頬に熱を感じていた。
少し怖くはあるけれど、同時に胸に生まれたのは、確かなときめきだった。
○○「……あ」
口を開きかけると、言葉を被せるように彼が耳元で囁いた。
リカ「お前。変な奴だから……傍に置いておきたい。 ちょっと前から、そう思ってた」
○○「え……」
(全然そんなふうに見えなかったのに……)
ただ、いつも言葉少なく私を見つめる視線だけが、気になって仕方なかった。
リカ「俺……勝負事は引きが強いんだ」
良く響く声で囁かれて、動機がいっそう激しくなる。
リカ「お前といたら、楽しめるだろ?」
彼の指先が、私の顎を上向きに傾けて……
○○「んっ……」
もう一度、唇が重ねられた。
キスの合間に、甘い吐息が混ざる……
リカの指先が私の顎を下り、首筋を伝い、そっと胸元に辿り着く。
(心臓が破裂しそう……)
気恥ずかしさに、彼の鋭い瞳から視線をそらす。
リカ「○○、目を逸らすな、ちゃんと俺のこと見ろよ」
○○「あ……」
一瞬、離れた唇がまた重なって……
やがて私の体は彼の手によりその場に押し倒されてしまった。
言葉よりずっと情熱的なキスと熱で、私の心はとろけていった…―。
おわり