リカ「で、話って? なんか聞きたいことあるんだろ? 特に、俺のこととか」
○○「!」
からかうような視線を向けるリカに、私も思い切って口を開いた。
○○「……どうして名前を変えて、街で遊んでたりするんですか?」
リカ「……皆の遊びが面白そうだから?」
○○「面白そうって……」
しれっと答えるリカの様子に、私は面食らってしまう。
○○「街の皆さん、リカさんの顔をご存じないんですか?」
リカ「リカさん、じゃなくて、リカ」
○○「あ……はい、なんでみんな王子のリカの顔を知らないのかなって」
リカ「王子は引きこもりで城から出ないってなってるから。 それに、俺、人前にでる公務やらないし……」
軽くあくびをしながら、リカが面倒臭そうに答える。
○○「そんな……」
(面白そうって……それだけが理由?)
(ときどき、寂しそうな表情をするって思ってたけど……勘違いだったのかな)
またひとかけら、ビターチョコレートをかじるリカの様子に、私はもどかしい気持ちを覚えていた…―。