初日の議会は結局、話し合いがまとまらず、まずは議会内での票決を取ることが決定した。
そして数日後、票決が行われる二度目の議会の日…―。
○○「そろそろ結果が出るかと思うと落ち着きませんね……」
ミカエラ「うん、すべての開票までにはまだ時間が掛かると思うけど……」
緊張に手を震わせる私を見て、彼はふっと口元を緩めた。
ミカエラ「少し外の空気でも吸いに出ようか?」
○○「……はい」
こうして私達が、議事堂の外に出ると…―。
○○「……っ!」
議事堂前の広場には、黒い翼を持つ人々が山と駆けつけていた。
人々は投票の結果を今か今かと祈るような気持ちで待っている。
○○「こんなにたくさんの人達が……」
ミカエラ「やはり彼らのためにも、必ずこの問題を何とかしないと……」
○○「そうですね、罪もないのに差別されるなんて……」
その後も議事堂の前に、黒い翼を持つ人々は大勢集まり……
やがて広場を覆い尽くすまでになったのだった…―。
夕方になり、議会は再開された。
○○「……」
ミカエラ「……」
固唾を飲んで投票の結果が読み上げられるのを注意深く待つ。
その時だった。
○○「っ!?」
突然、静かな議事堂の中をけたたましいサイレンの音が鳴り響いた。
○○「この音は!?」
人々が立ち上がり、騒ぎ始める中、傍聴席にいた私の元へ青い顔をしたミカエラさんが駆け寄ってきた。
ミカエラ「○○!今、治安部からすぐこの場から退避するようにと連絡が」
○○「えっ!?はい!」
彼に手を引かれ、急いで議事堂の外へ出ると…―。
○○「っ!?」
目の前に広がった様子に、私は言葉を失った。
議事堂前の広場では、大挙して押し寄せた黒い翼の人々と、審判の国に住まう白い翼の人々が衝突し、互いに傷つけ合っていたのだった。
ミカエラ「そんな!!やめなさい!今すぐ争いをやめるのです!!」
警吏「ミカエラ様、ここは危険です!」
ミカエラ「しかしこのままでは!」
衝突する人々の渦に駆け込もうとしたミカエラさんを、治安部の警吏達が必死に止める。
(そんな……)
私はただ、目の前の様子に立ち尽くすことしかできなかった…―。