窓の外で、下弦の月が輝いている…-。
最後のレッスンを終えた私は、ジョシュアさんに深夜のお茶に招かれていた。
(明日の建国際……大丈夫かな)
(せっかくレッスンしていただいたんだから、頑張らなきゃ)
自分にそう言い聞かせるものの、不安で胸がいっぱいになっていく。
ジョシュア「はい、今日は蜂蜜入り」
ジョシュアさんが紅茶の入ったカップを渡してくれる。
ここのところ、レッスン後のお茶会は日課になっていた。
ジョシュア「それで?なんでそんな顔してるの?」
○○「え?」
ジョシュア「不安そうだけど」
(何でも、お見通しなんだな)
私はますます顔をうつむかせる。
ジョシュア「……心外だな。誰がマナーを教えたと思ってるの?」
そんな私の顎を、ジョシュアさんは指で持ち上げた。
(そんなに見つめられると……)
真っ直ぐに目を見つめられ、私は視線をそらしてしまう。
ジョシュア「君にあと必要なのは、自信だけだよ。……ね?」
私を覗き込むジョシュアさんの瞳に、三日月が映っている。
不安に震える心に、彼の言葉が魔法のように溶け込んでいった…-。