太陽8話 冷たい声

朝の透明な日差しが、ジョシュアさんを照らしている…-。

女性達の鋭い視線を感じながら、私は高鳴る胸を押さえていた。

ジョシュア「姫様方。これは大変失礼を」

ジョシュアさんは、隣国のお姫様たちに礼儀正しく頭を下げた。

貴婦人1「お二人はお約束ですか?」

○○「……はい、マナーを教えていただいていて」

貴婦人2「ジョシュア様から……ですか……?」

ジョシュア「お教えするなどおこがましいですが……。 そんなに意外ですか?」

ジョシュアさんが優雅に眉をひそめると、彼女たちはその仕草に頬を染める。

貴婦人3「あの……私達もご一緒させていただけないでしょうか?」

ジョシュア「え……?」

貴婦人2「お願いします。ジョシュア様が先生をしてくださるなんて、羨ましくて……」

貴婦人1「そうですわ。私達も是非、ジョシュア様に一流のマナーを教えていただきたいですわ」

(ジョシュアさん、すごく人気があるんだ)

微かに胸が痛み、私は首をかしげる。

(すごく必死みたいだし、ご一緒すると言ったほうがいいよね)

○○「……では、ご一緒に…-」

口をひらくと、ジョシュアさんに鋭くにらまれたような気がした。

ジョシュア「姫様方」

ジョシュアさんは、すぐに優雅な笑顔を作る。

ジョシュア「申し訳ございませんが……レッスンは○○様と二人きりで行いたいと思います。 ○○様には、集中してレッスンを受けていただきませんと。 姫様方とは、是非またの機会に」

にっこりと微笑みかけると、ジョシュアさんは私の手をひいてその場を去っていく。

女性達の突き刺さるような視線を背に感じた…-。

○○「あの……よかったんですか?」

ジョシュア「……何が?」

○○「何だか、皆さんすごく一生懸命に見えたので。 それに、私……怒らせてしまったようですし」

ジョシュア「ふーん……人を気遣う余裕があるってことは、しごき方が足りなかったかな」

ジョシュアさんの目からは、先ほどの礼儀正しい微笑みが消えている。

ジョシュア「じゃあ、もっと厳しくしないと」

ジョシュアさんは、先ほどまでの彼からは想像できないような、悪戯な笑みを私に向けた。

○○「ジョシュアさん……」

すっかり聞き慣れた冷たい声は、なぜだか私をひどく安心させた…-。

 

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