朝の透明な日差しが、ジョシュアさんを照らしている…-。
女性達の鋭い視線を感じながら、私は高鳴る胸を押さえていた。
ジョシュア「姫様方。これは大変失礼を」
ジョシュアさんは、隣国のお姫様たちに礼儀正しく頭を下げた。
貴婦人1「お二人はお約束ですか?」
○○「……はい、マナーを教えていただいていて」
貴婦人2「ジョシュア様から……ですか……?」
ジョシュア「お教えするなどおこがましいですが……。 そんなに意外ですか?」
ジョシュアさんが優雅に眉をひそめると、彼女たちはその仕草に頬を染める。
貴婦人3「あの……私達もご一緒させていただけないでしょうか?」
ジョシュア「え……?」
貴婦人2「お願いします。ジョシュア様が先生をしてくださるなんて、羨ましくて……」
貴婦人1「そうですわ。私達も是非、ジョシュア様に一流のマナーを教えていただきたいですわ」
(ジョシュアさん、すごく人気があるんだ)
微かに胸が痛み、私は首をかしげる。
(すごく必死みたいだし、ご一緒すると言ったほうがいいよね)
○○「……では、ご一緒に…-」
口をひらくと、ジョシュアさんに鋭くにらまれたような気がした。
ジョシュア「姫様方」
ジョシュアさんは、すぐに優雅な笑顔を作る。
ジョシュア「申し訳ございませんが……レッスンは○○様と二人きりで行いたいと思います。 ○○様には、集中してレッスンを受けていただきませんと。 姫様方とは、是非またの機会に」
にっこりと微笑みかけると、ジョシュアさんは私の手をひいてその場を去っていく。
女性達の突き刺さるような視線を背に感じた…-。
○○「あの……よかったんですか?」
ジョシュア「……何が?」
○○「何だか、皆さんすごく一生懸命に見えたので。 それに、私……怒らせてしまったようですし」
ジョシュア「ふーん……人を気遣う余裕があるってことは、しごき方が足りなかったかな」
ジョシュアさんの目からは、先ほどの礼儀正しい微笑みが消えている。
ジョシュア「じゃあ、もっと厳しくしないと」
ジョシュアさんは、先ほどまでの彼からは想像できないような、悪戯な笑みを私に向けた。
○○「ジョシュアさん……」
すっかり聞き慣れた冷たい声は、なぜだか私をひどく安心させた…-。