建国際式前日の朝…-。
(だいぶ叱られなくなってきた)
(今日は何を教えていただけるんだろう)
私は、レッスンを楽しみにするようになっていた。
軽い足取りでレッスン会場に向かっていると、優雅なドレスに身を包んだ貴婦人たちに話しかけられる。
貴婦人1「ごきげんよう、○○姫様」
(確か、歓迎パーティーで隣国のお姫様と紹介されてた人達だ)
○○「ご……ごきげんよう」
唇から出る言葉が、少しこそばゆい。
貴婦人2「その後お加減いかがですか?」
(そうだ……私、パーティーで倒れてしまったんだった)
○○「おかげさまでもう……ご迷惑をお掛けしてしまい申し訳ありませんでした」
貴婦人2「そんな。それにしても、ジョシュア様にあんな風に抱き上げられるなんて、羨ましいですわ」
○○「抱き上げ……られる?」
貴婦人1「ええ。倒れられた○○姫様を、ジョシュア様が」
(し、知らなかった……!)
貴婦人3「礼儀正しくて、取り乱すことのないジョシュア様があんなに慌てられて……驚きましたわ」
(そうだったんだ)
頬が染まっていくことを感じる。
ジョシュア「○○」
レッスン会場に向かうジョシュアさんが通りかかり、私はとっさにまつ毛を伏せた。
(なんだろう、胸が……)
聞き慣れたはずのジョシュアさんが私を呼ぶ声に、胸が大きく跳ねる。
貴婦人1「○○……?」
女性達の目が、いっせいに私を見据えた。
(何だろう……にらまれているような)