(あれ……?)
そっと目を開けると、シャンデリアがまばゆく輝いている。
(私……!)
あわてて起き上がると、横で本を読んでいたジョシュアさんが静かに本を閉じた。
ジョシュア「目が覚めた?」
○○「ジョシュアさん……」
ジョシュア「歓迎パーティーの最中に倒れたんだよ。 お酒を飲み過ぎてしまったかな? 頭は痛くない?」
ジョシュアさんのひんやりとした手が、そっと私の額に触れる。
○○「ごめんなさい!」
ジョシュアさんが、私の瞳を覗き込んだ。
○○「私……ご迷惑を…-」
ジョシュア「うん、そうだね」
ジョシュアさんの声が、突然に冷たい響きを含む。
(え……?)
ジョシュア「テーブルマナーはなっていない。 立ち振る舞いも、まるでなっていない。 あんな小さな女の子に指摘されるほどね。 フォローするこちらの身にもなってみてよ」
(ジョシュアさん? なんだか違う人みたい)
(でも、仰ることはもっともだ)
○○「本当に、ごめんなさい!」
ジョシュア「まさか、来週の建国際でもあんな姿を見せるわけじゃないよね? 仮にもトロイメアのお姫様が」
○○「……っ。 はい、私、頑張ります!」
ジョシュア「頑張ってどうにかなるレベルだと思ってる? でも安心していいよ。 オレが教える」
○○「え?」
ジョシュアさんのガラスのように綺麗な薄緑色の瞳に、鋭さが宿る。
ジョシュア「建国際までに、完璧なレディに仕立てるから。 明日から覚悟しておいて」
○○「ジョシュアさん……?」
戸惑いに声をあげると、ジョシュアさんは冷たく私を見下ろす。
ジョシュア「口答えは、許さないから」
冷たく言い捨てて、ジョシュアなんは部屋を出ていってしまった。
(どうしよう)
ジョシュアさんの突然の豹変と、突然言い渡された明日からの予定に、私は呆然としてしまう。
お酒のせいかぼんやりと霞がかった視界を、そっとまぶたで遮った…-。