燃え盛る小屋の中、必死に子猫を探す。
(どこにいるの……!?)
そのとき、微かに子猫の鳴き声が聞こえた。
○○「あ……っ」
毛布の影から、子猫がよろよろとした足取りで出てくる。
○○「よかった……!」
抱きしめると、子猫の体はとても熱くなっていた。
(こんなに熱くなって……)
腕の中で、子猫が震えている。
○○「もう少し頑張ってね、すぐに外に出してあげるから」
子猫に励ますように声をかけた時……
大きな柱が音を立てて落ちてきた。
○○「……っ!」
なんとか柱をよけて、子猫を守る。
でも、出口への道が塞がれてしまい、もうどうすることもできない。
○○「……」
恐怖で体が動かなくなっていく。
燃え盛る炎が迫り、息をすることすらままならなくなって……
○○「サイさん……助けて……」
無意識に、彼の名前を呼んでいた。
サイ「○○!」
○○「サイさん……!」
見上げるとサイさんが、燃え盛る炎の中、私に手を差し伸べてくれていた。
サイ「○○……!」
彼の手を強く握ると、力強く私の体を引き寄せてくれた。
○○「サイさん……っ!」
子猫を抱きながら、すがるように彼の胸に飛び込むと、ぎゅっと抱きしめてくれた。
サイ「馬鹿……! 君は本当に……」
サイさんの腕に抱かれ、心細さが消えていく。
(サイさん、とっても熱い……)
サイ「子猫は僕が抱くから、絶対に手を離さないでね」
炎の中、サイさんがしっかりと私の手を引いてくれる。
赤く染まる小屋の中、彼の耳飾りの蒼い輝きが私を導いてくれた…-。