第1話 打ち上げ花火

宝石の国・サフィニア、輝の月…-。

城の近くにある、広く静かな平原で夜空を見上げていると…-。

突然に、色鮮やかな光が夜空を彩った。

(綺麗……)

サイ「……気に入ってくれた?」

隣に立っていたサイさんが、青色の綺麗な瞳を私に向けた。

○○「これ……もしかして、私のために?」

サイ「うん。僕を目覚めさせてくれたお礼。 君の歓迎に、城の皆に相談したんだけど・・・・・ちょっと、派手すぎたかな」

サイさんが、眉を少し下げながら私に尋ねた。

○○「すごく嬉しい……! ありがとうございます!」

サイ「そう。良かった」

彼はそう言って、目を細めた。

花火が次々に打ち上がり、私とサイさんを照らし出す。

(素敵……)

時間を忘れ、その美しさに見入っていると…-。

少年「あっ! サイ王子!」

幼い少年達が、サイさんに気づいて駆け寄って来た。

サイ「君達は、街の子だね。 もう夜だよ?早く家に帰らないと」

少年1「ごめんなさい! でも、ぼくたちも花火したくって!」

少年2「ちいさい花火、持ってきたの!」

少年1「サイ王子、一緒にやろうよ!」

少年2「お姉ちゃんも!」

○○「私も? いいの?」

少年「うん! サイ王子様、早く早く!」

けれどサイさんは、困ったように微笑むばかりだった。

(サイさん……?)

○○「やりませんか?手持ちの花火もきっと綺麗ですよ」

サイさんは少し考えてから……

サイ「綺麗だけど……僕はこうして見てるだけでいいよ。 ○○は、彼らと楽しんでおいで」

静かな声で、言葉を発した。

○○「……でも」

サイ「僕のことは気にしなくていいから」

○○「……」

サイ「ここで待ってるから、行っておいで? 気をつけてね」

○○「……はい」

サイさんの言葉に背中を押され、少年達の元へと向かう。

振り返ると、サイさんは再び夜空に舞い上がる花火を、静かに見つめていた…-。

 

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