宝石の国・サフィニア、輝の月…-。
城の近くにある、広く静かな平原で夜空を見上げていると…-。
突然に、色鮮やかな光が夜空を彩った。
(綺麗……)
サイ「……気に入ってくれた?」
隣に立っていたサイさんが、青色の綺麗な瞳を私に向けた。
○○「これ……もしかして、私のために?」
サイ「うん。僕を目覚めさせてくれたお礼。 君の歓迎に、城の皆に相談したんだけど・・・・・ちょっと、派手すぎたかな」
サイさんが、眉を少し下げながら私に尋ねた。
○○「すごく嬉しい……! ありがとうございます!」
サイ「そう。良かった」
彼はそう言って、目を細めた。
花火が次々に打ち上がり、私とサイさんを照らし出す。
(素敵……)
時間を忘れ、その美しさに見入っていると…-。
少年「あっ! サイ王子!」
幼い少年達が、サイさんに気づいて駆け寄って来た。
サイ「君達は、街の子だね。 もう夜だよ?早く家に帰らないと」
少年1「ごめんなさい! でも、ぼくたちも花火したくって!」
少年2「ちいさい花火、持ってきたの!」
少年1「サイ王子、一緒にやろうよ!」
少年2「お姉ちゃんも!」
○○「私も? いいの?」
少年「うん! サイ王子様、早く早く!」
けれどサイさんは、困ったように微笑むばかりだった。
(サイさん……?)
○○「やりませんか?手持ちの花火もきっと綺麗ですよ」
サイさんは少し考えてから……
サイ「綺麗だけど……僕はこうして見てるだけでいいよ。 ○○は、彼らと楽しんでおいで」
静かな声で、言葉を発した。
○○「……でも」
サイ「僕のことは気にしなくていいから」
○○「……」
サイ「ここで待ってるから、行っておいで? 気をつけてね」
○○「……はい」
サイさんの言葉に背中を押され、少年達の元へと向かう。
振り返ると、サイさんは再び夜空に舞い上がる花火を、静かに見つめていた…-。