式典を終え、城に戻る…―。
アルマリは部屋の隅でうなだれ、ため息ばかりを吐いている。
心配で一緒にいるものの、かける言葉が見つからない。
(アルマリ、落ち込んでる……)
アルマリ「どうして……こんなことに……」
○○「アルマリ……大丈夫?」
アルマリ「……!」
私が近づこうとすると、アルマリは避ける様に遠ざかっていく。
(えっ……)
アルマリ「ごめん、○○……今、君と居るとなんだか苦しいんだ」
○○「アルマリ……?」
アルマリ「ひとりにしてくれないかな」
彼は私の目を見ようともしなかった。
○○「……う、うん」
胸に痛みを覚えながら、私はアルマリの部屋を後にした。
月明かりの下…―。
私は、アルマリの言葉を思い出していた。
――――――――――
アルマリ「ごめん、○○……今、君と居るとなんだか苦しいんだ」
――――――――――
(私……アルマリに何かしちゃったのかな……?)
寂しい気持ちを抱えながら、中庭のベンチで顔をうつむかせていると…―。
アルマリ「○○? どうしたの、遅くにこんなところで……!」
○○「アルマリ……!」
私に気づいたアルマリが、駆け寄って来るけれど…―。
アルマリ「……!」
はっとした表情になり、私から少し離れたところで立ち止まってしまった。
アルマリ「風邪、引くよ……?」
○○「アルマリ……」
ベンチから立ち上がり、アルマリに近づく。
アルマリは私を避けることはしなかったけれど、顔を強張らせて立ちすくんでいた。
(どうしたのかな……?)
○○「アルマリ……どうしたの? 私、何かしちゃったかな?」
アルマリ「ち、違う……自分でも、よくわからないんだ。 君といると、すごく胸が苦しくなって……。 あの力が消えたのも、そう感じるようになってからなんだ……」
アルマリは潤んだ瞳を、夜空に向けた。
アルマリ「僕……街の皆に悲しい顔をさせちゃった。 トルマリがいなくても……ひとりでやらなきゃいけなかったのに……」
アルマリの頬に一筋の涙がこぼれ、やがてとめどなく大粒の涙が流れ出す。
○○「……アルマリ」
涙を拭ってあげたいと思って、手を伸ばそうとするけれど……
(また、アルマリを困らせてしまうかもしれない……)
伸ばしかけたその手を止め、ぎゅっと自分の手のひらを握りしめた。
アルマリ「どう……して……」
月明かりが、彼の涙を優しく照らす。
私はその涙が止まるまでずっと、傍にいることしかできなかった…―。