アルマリが意を決して、宝石に手をかざす。
(あっ……)
しかし…―。
アルマリ「……っ」
アルマリがいくら手をかざしても、宝石は光を灯さなかった。
(アルマリ……)
国民「一体、どうしたんだ……? ……宝石は光らないの?」
聴衆のざわめきが、大きくなっていく。
アルマリ「……」
国王「アルマリ、どうした?」
アルマリ「あの……僕……」
アルマリの表情はみるみるうちに青ざめていって…―。
(このままだと、アルマリが……)
気づくと、私はアルマリの傍へと駆け寄ってしまっていた。
○○「国王様、アルマリ様の体調がすぐれない様子です……」
国王「……アルマリ、そうなら早く言いなさい」
アルマリ「……申し訳ありません」
国王様がアルマリの代わりに宝石に手をかざすと、台の上にある宝石がまぶしい程の光を放ち始めた。
アルマリ「どうして……」
アルマリは自分の手を見つめていたが、やがて悔しそうにきつく拳を握りしめた。
(アルマリ……すごく落ち込んでる……)
彼が握りしめている手を、私は両手で覆う。
彼の拳が、痛いくらいに震えていた…―。