その日の夜…-。
(そろそろ眠ろうかな……)
ベッドに入り、眠りにつこうとした時……
○○「……?」
扉の外で物音が聞こえてきた。
(何だろう……?)
恐る恐るドアを開けてみると…-。
アルマリが窓の外をぼうっと眺めていた。
○○「アルマリ……?」
アルマリ「○○……!」
私に気づいたのアルマリの顔が突然に強張り、声も震え出す。
○○「……どうしたの?」
アルマリ「う、うん、ちょっと……」
アルマリはちらりと私を見ると、すぐに顔を逸らして、また夜空に目をやった。
(何か、話しかけないと……そうだ!)
○○「もうすぐ、式典だね」
アルマリ「う、うん……」
(宝石……綺麗な光だったな……)
アルマリの襟についた宝石を見つめ、あの光を思い出す。
アルマリ「……見たいの?」
○○「ううん、式典まで楽しみにしてる」
アルマリ「……見たいって顔してる」
(ばれてた……)
アルマリは私と目を合わさないまま、そっと襟元の宝石に手をかざした。
アルマリ「えっ……!」
何度も何度も宝石に手をかざす。
しかし……
(宝石が……光らない……?)
アルマリ「何で……」
アルマリは髪の毛をくしゃくしゃと掻きながら、狼狽している。
○○「アルマリ……?」
全身を震わせ始めたアルマリの肩に、そっと手を置いた。
○○「落ち着いて……アルマリ」
彼の手を握りしめ、顔を覗き込むと…-。
アルマリ「……!」
アルマリは、私からすぐに距離を取ろうとする。
(どうして……? 今まではあんなに近かったのに……)
アルマリ「なんで……僕……」
アルマリの声が、途切れ途切れになっていく。
アルマリ「僕はやっぱり……トルマリがいないと駄目なのかな……」
そう言うと、アルマリは走り去ってしまった。
○○「アルマリ……!」
息を切らして、アルマリが駆けてくる。
恐る恐るもう一度胸の宝石に手をかざしてみると……やがて淡い光を放ち始めた。
アルマリ「……どうして、○○の前ではできなかったんだ……?」
アルマリは、混乱する頭で必死にその理由を考え続けていた……
式典当日…-。
(あの日以来、アルマリとは話せていない……)
街の中央に設置された豪壮な台の上に、たくさんの宝石が集められた。
(あの宝石に、アルマリが光を灯すのかな……?)
(アルマリ、大丈夫かな……)
国王「これより、式典を執り行う」
国王様の威厳に溢れた挨拶が終わると、アルマリが宝石の方へと歩みを進めた。
(アルマリ……)
昨夜のアルマリの様子を思い出し、心配で仕方ないけれど、私は来賓席から見守ることしかできない。
(アルマリ、頑張って……!)
アルマリ「……」
心の声が伝わったのか、一瞬だけアルマリと目が合った。
アルマリ「……」
アルマリは、宝石の前で立ちすくんでいたが……
やがて、意を決したように宝石に手をかざした…-。