城に戻った報告と挨拶のために、私とアルマリは国王様の元へ向かった。
国王「○○様、アルマリを目覚めさせていただき、本当にありがとうございました」
○○「いえ……そんな……」
国王様に丁寧にお礼を言われて、思わず身を縮める。
アルマリ「父上、トルマリは……?」
国王「トルマリは、お前を探しに城を飛び出して行った。 城で待っているように言ったのに……まったくあいつは手に負えない」
アルマリ「……そうですか」
国王「だが、お前が戻って来てくれて良かった。 式典、くれぐれもよろしく頼むぞ」
アルマリ「……はい」
(式典……?)
国王様の元を離れた後…-。
○○「アルマリ、国王様が仰っていた式典って……?」
アルマリ「……もうすぐこの国の守護神である、“ダイヤモンドの乙女”を称える式典が開かれるんだ。 その式典で、その年に街の人が採掘した宝石に光を灯すことになってる。 トルマリと一緒にね」
○○「光を、二人で……?」
アルマリ「うん」
アルマリが服の襟についている蒼い宝石に手をかざすと…-。
(わぁ……)
宝石が、蒼く淡い光を放ち始めた。
○○「綺麗……! すごいね、魔法?」
アルマリ「魔法……みたいなものなのかな。王族は、皆この力を持ってるんだ。 いつもはトルマリと二人でその役をやってる。 街の人が頑張って来た一年を祝福する、大事な儀式……なんだ」
アルマリの声が小さくなり、途切れ途切れになる。
(アルマリ……?)
アルマリ「僕ひとりで、できるかな……」
アルマリの声はとても不安げで……
○○「アルマリなら大丈夫だよ!」
声に、思わず力が入ってしまった。
アルマリ「……○○」
○○「式典頑張って! 楽しみにしてる!」
アルマリ「……○○の瞳は、宝石みたいにきらきらしてるね」
吸い込まれるような蒼い瞳に見つめられ、身動きができなくなってしまう。
するとアルマリは、また一歩私との距離を縮めてきて…-。
(ち、近い……)
アルマリ「トルマリも、きらきらしてすごくまぶしいんだ。 でも君のきらきらは……トルマリとは、少し違う」
(心の奥まで覗かれてしまいそう……)
(アルマリの瞳、本当に綺麗……)
私はアルマリの瞳をじっと見返す。
アルマリ「ごめんね、いろいろと落ち着かなくて……。 そうだ……ちょっと、僕についてきて?」
(……何だろう?)
私は、背を向けて歩き出したアルマリの後を追った…-。
アルマリが連れて来てくれたのは、城の裏手にある綺麗なお花畑だった。(わぁ……!)
色とりどりのお花が、一面に咲き誇っている。
○○「綺麗……」
アルマリ「ここでお昼寝するのが好きなんだ。とてもいい香りがして」
○○「そうなんだ……」
寝そべってみると、花の香りが心地良く体を包んだ。
○○「いい香り……」
アルマリ「でしょ?」
すると…-。
アルマリがおもむろに、私の真隣に寝転がった。
(ち、近い……!)
アルマリの肩が私の肩に当たり、寝返りを打てば顔が触れてしまいそうな距離に、戸惑いを覚える。
○○「アルマリ……少し近いかな……」
アルマリ「……そう?」
アルマリは、ふと目を細めて遠くの空を見た。
アルマリ「トルマリがね、僕が落ち込んだときとかここに連れてきてくれるんだ」
○○「トルマリさんは、いいお兄さんなんだね」
私がそう言うと、アルマリの顔に再び陰りが過る。
アルマリ「うん……」
○○「アルマリ……?」
(また……一体、どうして……?)
アルマリの蒼い目が、どこか暗く沈んでいく。
彼のまぶたが蒼色を隠した…-。