月5話 ふさぎこむ部屋

ルシアンさんに、アディエルくんが呼び出されて数日・・・―。

あれからずっと、アディエルくんの姿を見ていなかった。

(以前は毎日、会いに来てくれてたのにな……)

少しの寂しさと心配を募らせ、城の廊下で会った人に彼のことを尋ねてみた。

侍女「そう言えば、ずっとふさぎこんでいると聞きました」

○○「え……?」

その人にお礼を言って別れた後、私の足は真っ直ぐにアディエルくんの部屋へと向く。

(アディエルくん……どうしたんだろう)

勇気を出してノックをすると、扉が開いて、すぐにアディエルくんが出てくる。

○○「アディエルくん、あの……」

アディエル「……」

アディエルくんの瞳は、悲しさに沈んでいた。

○○「……何があったんですか?」

アディエル「オレ……」

優しく声をかけても、アディエルくんは言葉を詰まらせてしまう。

○○「アディエルく…―」

そっと、彼の腕に触れようとした時だった。

アディエル「……○○!」

アディエルくんに体を引き寄せられ、胸に強く抱きしめられた。

(……え……?)

突然のことで、何を考える間もなくて……

ただ、頬に伝わる熱と鼓動に驚きながら、それ以上に鼓動が高鳴った。

(一体、何があったの?)

アディエル「……○○」

身じろぐ私をアディエルくんは、もっとしっかりと抱き寄せる。

(本当に、どうしたの?)

縋るように抱きしめられながら、どうしようもない胸騒ぎに襲われていた…―。

 

<<第4話||<<太陽SS||月最終話>>