ルシアンさんに、アディエルくんが呼び出されて数日・・・―。
あれからずっと、アディエルくんの姿を見ていなかった。
(以前は毎日、会いに来てくれてたのにな……)
少しの寂しさと心配を募らせ、城の廊下で会った人に彼のことを尋ねてみた。
侍女「そう言えば、ずっとふさぎこんでいると聞きました」
○○「え……?」
その人にお礼を言って別れた後、私の足は真っ直ぐにアディエルくんの部屋へと向く。
(アディエルくん……どうしたんだろう)
勇気を出してノックをすると、扉が開いて、すぐにアディエルくんが出てくる。
○○「アディエルくん、あの……」
アディエル「……」
アディエルくんの瞳は、悲しさに沈んでいた。
○○「……何があったんですか?」
アディエル「オレ……」
優しく声をかけても、アディエルくんは言葉を詰まらせてしまう。
○○「アディエルく…―」
そっと、彼の腕に触れようとした時だった。
アディエル「……○○!」
アディエルくんに体を引き寄せられ、胸に強く抱きしめられた。
(……え……?)
突然のことで、何を考える間もなくて……
ただ、頬に伝わる熱と鼓動に驚きながら、それ以上に鼓動が高鳴った。
(一体、何があったの?)
アディエル「……○○」
身じろぐ私をアディエルくんは、もっとしっかりと抱き寄せる。
(本当に、どうしたの?)
縋るように抱きしめられながら、どうしようもない胸騒ぎに襲われていた…―。