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アポロ「多少は、会いたいと思った」
アポロ「そう、その呆けた顔が早く見たいと思ったのだ」
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それから…ー。
アポロを連れて、私は彼の部屋へと戻った。
太陽は既に落ち、外には漆黒の闇が広がっている。
急襲を受けて騒然となっていた城内も、アポロの帰還によって落ち着きを取り戻し始めている。
アポロ「く…っ」
(苦しそう…力を使ったから)
○○「アポロ…ありがとう、助けてくれて」
そっと、汗に濡れた彼の前髪を掻き上げる。
アポロ「礼などいらん。元はと言えば、俺が講じたことだ」
○○「…でも」
彼は苦しそうに浅い息を小刻みに続けている。
アポロ「だがしばらく…力は使えぬな」
アポロが胸の刺青に手を触れた、その時…ー。
兵士「アポロ様…っ!!」
突然、扉が開き、剣を振りかざした兵士達が部屋の中になだれ込んできた。
アポロ「…なんだ、貴様ら」
ただならない気配を察したアポロが立ち上がり、私を背に隠した。
兵士1「ダイア様からのご命令です…今のあなたは、力が使えない」
兵士2「討ち取れなければ、私達が今度はダイア様に殺されてしまう…!」
そう叫ぶや否や、兵士達はアポロに斬ってかかってくるけど…
アポロ「…っ」
アポロは素早くそれをかわし、兵士達を次々に地面へ叩きつけた。
兵士1「う、ううっ…」
アポロは、兵士を蔑んだ眼差しで見下ろした。
アポロ「覚悟の上か」
兵士「あっ…あ…」
床に転がした兵士の喉元を、靴で踏みつけながら、アポロが低い声で問う。
見ているだけで…身がすくんで動けなくなるような、恐ろしい光景だった…
アポロ「覚悟の上かと聞きいている」
ぐっとアポロの足が踏み込まれる。
兵士は恐怖のせいか、呼吸を奪われたせいか、そのまま失神してしまった…
○○「…アポロ…」
アポロ「…腑抜けだ」
床に倒れた兵士達を見渡した後、アポロは吐き捨てるように言った。
アポロ「…力がなければ…やはり支配できない」
○○「アポロ、それは…ー」
アポロ「うるさいっ!!」
アポロの腕が熱を帯び、その周りが陽炎のように揺らめき始める。
○○「…駄目…!」
(力を使ったら……!)
その時…ー。
兵士3「アポロ王はこっちだ!!」
別の兵士達の声と足音が、この部屋に近づいてくる。
アポロ「くそっ…どうやらこの城には、兄の放ったネズミどもばかりがいるらしい。 …一度城を出る。来い!」
私の腕を強引に引いて、アポロは城を飛び出した。
もう片方の腕から放たれる猛炎によって、道を切り開きながら…ー。