――そうして、私達はシュテルさんの回復を待ち、人々の願いを叶える旅に出た。
砂漠の星に立ち寄ったある日…―。
○○「シュテルさん、あそこに人が見える気が……」
見ると、壊れた飛行機の傍で、男性が手を振っている。
シュテル「旅人か……飛行機が墜落したようだな。よく生きていたものだ」
シュテルさんの後ろについて歩こうとするけれど、砂に足をとられて上手に進むことができない。
シュテル「……ほら」
シュテルさんが手を差し伸べてくれる。
(あったかい……)
その手はもう冷たくなくて、私は嬉しくてたまらなくなる。
けれど、あの日以来一度も笑ってくれないシュテルさんを思うと、気持ちが重く沈んだ。
シュテル「大丈夫ですか?」
シュテルさんが男性に声をかけると、男性は驚いたように目を丸くした。
旅人「おや……あなたは、メテオベール王家のシュテル王子ではありませんか?」
シュテル「何故私の名を?」
旅人「以前あなたに願い、この飛行機を出していただいた者です。 ああ良かった。王子、飛行機が墜落してしまって。 一つ、王子のお力で直してはいただけませんか?」
シュテル「……済まない。もう出来ないんだ」
旅人「出来ないとは?」
シュテル「……力を失った」
消え入るようなシュテルさんの言葉に、男性がまた瞳を丸くする。
(どうしよう……そうだ!)
私は、散らばってしまった飛行機の部品を集めはじめる。
男性「それは、何をなさってるんで?」
○○「直しましょう!」
シュテル「○○……そもそも飛行機は地上の乗り物で、僕達には知識もない」
○○「でも、きっと大切なものなんでしょう? もしかしたら、案外簡単に直るかもしれませんし」
旅人「お嬢さん、あんた……よし、一つやってみましょう」
○○「シュテルさんも早く」
シュテル「……ああ」
夜の砂漠に、次々と流れ星が落ちてくる。
そのきらめきを頼りに、私達は飛行機の部品を集めたのだった…―。