窓から時折入る夜風が、私の頬をそっと撫でる…―。
シュテル「○○……。君は聞いてくれたね。僕の願いは何かと。 やっとわかったんだ。僕は、君の傍にいたい」
○○「……っ」
それはあまりに突然で、私は言葉を失ってしまう。
(私……何て返事すればいいの?)
頭の中で色々な思いが渦巻き、返事もできずにいると……
国王「お嬢さん」
○○「は、はい」
国王「息子を……シュテルを救ってくださり、心より御礼を申し上げる」
○○「いえ、そんな……!私はただ……彼の笑顔が見られなくなるのが怖くて……」
ー----
シュテル「消えないように憶えておくから……いいんだ」
ー----
(……それで……?)
○○「消えないように……ずっと、見ていたくて……」
ー----
シュテル「……君が好きだと言った、花だ」
ー----
○○「私……」
心の中で、何かが音を立てる。
まだそれを言葉にはできず、ただ彼がくれたネックレスを握った……
国王「シュテル」
シュテル「はい」
国王「私に異存のあるはずもない。あとはお前の問題だ」
そう言って、国王様は席を立つ。
国王「行きなさい」
シュテルさんは、国王様に静かに礼をすると、私に手を差し伸べた。
流れ星に乗ってしばらくすると、静かな夜空に二人きりになる。
星空の旅は相変わらず美しく、シュテルさんの瞳を見られない私は、星ばかりを見つめていた。
シュテル「○○」
名前を呼ばれ、驚いて小さく飛び上がる。
シュテル「……驚いた?」
○○「少し……」
クスリと笑った後、シュテルさんは私の胸元を抱き寄せて……
シュテル「……別に、返事が欲しいわけじゃないんだ。 僕はずっと、確かなものが欲しかった。 そして、見つけた……この気持ちを」
○○「シュテルさん……?」
シュテル「君が好きだ」
○○「……っ」
彼の声が耳元で響き、力強く抱きしめられる……
シュテル「もう決めたんだ。僕の命は、君と国の為に捧げるって。 今のこの星屑時計の……この力強い輝きのように、僕は、命ある限り君を想うよ」
そう言い終えると、彼は私の頬にそっとキスを落とす。
○○「……っ」
甘い痺れが体中に広がり、息が止まりそうになった。
シュテル「○○……」
シュテルさんが、この上なく愛おしげに私を見つめる。
幾千もの星々が、天上でキラキラと輝きを纏う夜…―。
その星を閉じ込めたような彼の瞳の中に、溶けてしまいたいと思った…―。
おわり。