第1話 星降る夜に

流星の国・メテオベール 宙の月…―。

流れ星がキラキラと降り注ぐ夜…―。

??「君は……?」

指輪を解放すると現れたのは、星の光を一身に集めたかのように光り輝く王子様だった。

(なんて綺麗な人……)

星屑を溶かしたような白銀色の髪と、星空を思わせる透き通った青色の瞳。

それに、瞳と同じ色の砂が入った砂時計のネックレスが胸元に光っている。

??「眠りから解き放たれたということは……君は、トロイメアの姫か」

○○「はじめまして、○○です。あなたは?」

??「シュテル。流星の国・メテオベールの王子だ」

流れ星の光は、まるできらめく水面のように彼の髪を揺らしていく。

シュテル「ところで、いつまでそうしているつもりだ?」

ふと気がつくと、私は指輪を解放した時のまま、地面に膝をついた姿勢で彼を見上げていた。

(恥ずかしい……)

シュテルさんが手を差し伸べてくれる。

○○「ありがとうございます」

その手は驚くほどに冷たくて、見上げると、頬も透き通るほどに蒼白かった。

○○「あの、大丈夫ですか? 顔色が……」

シュテル「別に」

冷たくそう言って、シュテルさんが細く長く息を吐く。

○○「え……!」

吐息から小さな流れ星が生まれ、彼の長い指がそれを捕まえた。

○○「すごい! どうやって……?」

シュテル「……君は、質問が好きだな」

シュテルさんは、手にした流れ星にそっと何かを囁きかける。

すると、流れ星がいっそう美しく輝き、彼の手の上で静かに動きを止めた。

シュテル「これを。願いを込めてこれを夜空に放すと、どんな願いでも一つだけ叶う。目覚めさせてくれた礼だ」

手渡された流れ星はひんやりと冷たく、彼の手の温度を思い出させる。

私が星に見入っている間に、シュテルさんはくるりと背を向け、立ち去っていった。

○○「あ、あの」

引き止めようと彼の袖に触れた時……

○○「あっ!」

彼の体が目映い光を放ち、星に溶け入っていく。

気づいた時には、私はシュテルさんと一緒に星に乗り、星空を渡っていた…―。

 

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