流星の国・メテオベール 宙の月…―。
流れ星がキラキラと降り注ぐ夜…―。
??「君は……?」
指輪を解放すると現れたのは、星の光を一身に集めたかのように光り輝く王子様だった。
(なんて綺麗な人……)
星屑を溶かしたような白銀色の髪と、星空を思わせる透き通った青色の瞳。
それに、瞳と同じ色の砂が入った砂時計のネックレスが胸元に光っている。
??「眠りから解き放たれたということは……君は、トロイメアの姫か」
○○「はじめまして、○○です。あなたは?」
??「シュテル。流星の国・メテオベールの王子だ」
流れ星の光は、まるできらめく水面のように彼の髪を揺らしていく。
シュテル「ところで、いつまでそうしているつもりだ?」
ふと気がつくと、私は指輪を解放した時のまま、地面に膝をついた姿勢で彼を見上げていた。
(恥ずかしい……)
シュテルさんが手を差し伸べてくれる。
○○「ありがとうございます」
その手は驚くほどに冷たくて、見上げると、頬も透き通るほどに蒼白かった。
○○「あの、大丈夫ですか? 顔色が……」
シュテル「別に」
冷たくそう言って、シュテルさんが細く長く息を吐く。
○○「え……!」
吐息から小さな流れ星が生まれ、彼の長い指がそれを捕まえた。
○○「すごい! どうやって……?」
シュテル「……君は、質問が好きだな」
シュテルさんは、手にした流れ星にそっと何かを囁きかける。
すると、流れ星がいっそう美しく輝き、彼の手の上で静かに動きを止めた。
シュテル「これを。願いを込めてこれを夜空に放すと、どんな願いでも一つだけ叶う。目覚めさせてくれた礼だ」
手渡された流れ星はひんやりと冷たく、彼の手の温度を思い出させる。
私が星に見入っている間に、シュテルさんはくるりと背を向け、立ち去っていった。
○○「あ、あの」
引き止めようと彼の袖に触れた時……
○○「あっ!」
彼の体が目映い光を放ち、星に溶け入っていく。
気づいた時には、私はシュテルさんと一緒に星に乗り、星空を渡っていた…―。