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グラッド「何だかよくわからないけど、パンを見た瞬間、ドキドキして……。 それなのに食べられないって思ったら、苛々して……。 こんなのは初めてだし、こんなふうに食い物のことを考えたのも初めてだ……!」
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走り去ってしまったグラッドくんのことを考えると、胸が痛む。
けれども…―。
執事「○○様、少々よろしいでしょうか」
○○「あっ、はい。どうぞ」
執事さんは静かに扉を開け、私の元へやってくる。
そして……
執事「こちらで、グラッド様がお持ちです」
執事さんはそう言って、私に印のついた地図を手渡す。
○○「これは……」
執事「私も、詳細は伺っていないのですが……。 『さっきのパンを持って、ここに来てほしい』とのことです」
○○「えっ……?」
グラッドくんの真意はわからなかったものの、私はその地図を元に、グラッドくんの待つ場所へと向かったのだった…―。
…
……
○○「グラッドくん」
私が緊張しながら声をかけると、グラッドくんは少しバツの悪そうな顔をする。
けれども、すぐ頭を下げ……
グラッド「……さっき、混乱してた。ごめん。 ちゃんと話がしたくて呼び出した」
彼はそう言った後、顔を上げて私を真っすぐに見つめる。
(話……それじゃあ私、嫌われてるわけじゃないのかな?)
そう思った瞬間、少しだけ肩の力が抜け……私はグラッドくんに、大きく頷いたのだった…―。