窓から差し込む夕日を見て、オレの心はざわめいていた…-。
(今頃、○○はセロに会ってんのか……)
オレは握りしめた拳を、じっと見つめる。
(この手で、セロを殴ってしまった……それは、まぎれもない事実なんだ)
ウェディ「クソッ……」
(これが恋愛の嫉妬か……)
自分の嫉妬心の強さに、オレ自身が驚いている。
○○を好きだと思うほど、その衝動は強くなる。
(オレは○○を好きになる資格なんてないんだ……)
ふと、○○の屈託のない笑顔を思い浮かべる。
(あの笑顔が、セロだけのものになるのか……)
握りしめた拳に、より一層力が入る。
オレの妄想は意に反して、どんどん広がっていってしまう。
(あの柔らかそうな○○の頬に、セロは手を当てる)
(それから、二人はキスをして……)
ウェディ「……ッ!」
妄想が広がる度に、胸の痛みが増していく。
それでもオレは、二人のことを想像せずにはいられない。
(セロが○○の首筋に指を這わす)
(○○は照れながら身をよじらせる……)
ウェディ「あーーーーーーーっ! クソッ!」
止めようのない妄想が、オレの頭を支配していく。
(ダメだ! ダメだ、ダメだ! ○○をオレ以外の男に触らせたくねーし!)
(オレだって……○○にいっぱい触れたい!)
(そして、できれば……もっと、それ以上のことも……)
想像しただけで、体の芯が熱くなっていくのが分かる。
(これが恋の嫉妬ってやつだな……)
ウェディ「つれぇー……」
ため息と共に、本音が零れだしてくる。
オレはその苦しみを、ひしひしと感じていた。
ウェディ「オレは、○○を諦められない……ってことか」
夕日がオレの顔を照らす。
ウェディ「……今なら間に合うよな」
オレは○○をセロから奪うために、必死になって駆け出した――。
ウェディ「ちょっと待ちやがれっ!!」
○○とセロは、驚いた顔でオレを見ている。
(本当のオレの気持ちを伝えるんだ!)
(暴力でなく、言葉で……ちゃんと!)
ウェディ「ごめん、セロ……オレは○○が好きなんだ! 友達も大切だけど、○○への好きはもっと特別だから、お前に嫉妬する」
ハッキリと嫉妬していると伝えると、胸の奥がすっとするのが分かった。
○○の反応が気になったけど、オレは自分の気持ちを止められない。
いや、止めるつもりなんてない…-!
ウェディ「好きだから嫉妬が抑えられない、ならオレはこの嫉妬の気持ちも受け入れる……だから…-。 コイツはオレのものだ! お前にも誰にも渡さねェっ!!」
オレは大声でそう宣言すると、○○をセロから奪って全力で走っていった…-。
オレはそのまま、○○を寝室へと連れてきた。
(少し強引かな……)
そんな思いが頭を過ったけれど…-。
○○「ウェディくん……?」
○○の透き通った瞳に見つめられると、我慢がきかなくなる。
(ヤベェ……)
○○「あの、私…-」
ウェディ「何も言うんじゃねェ!!」
○○が何かを言う前に、その唇を塞ぐ。
醜い嫉妬の感情が、むきだしになったっていい。
妄想していたことを全て、今ここでしてしまいたい――。
(○○の全てが欲しい……)
ウェディ「オレは、お前が他の男と一緒にいるのは耐えられない、どうしても嫌だ! ○○にはオレだけを見て欲しい、オレだけを見て感じて欲しいんだ……」
(隠すことはもうしたくない)
(醜くても、これが○○に抱く感情の全てなんだ……!)
(だけど……○○がオレのことを怖がったら?)
(どうしよう……スゲー怖い)
ウェディ「こんな気持ちはやっぱり醜いかもしれないけれど……」
○○「そんなことないよ」
途端に弱気になったオレに、○○が優しく微笑んでくれる。
ウェディ「! ……○○……」
(○○、後悔しても知らねーぞ……)
(これから、オレはお前をどうかしてしまうかもしれない……)
(それでも、いいんだよな?)
オレは、○○の体が折れてしまいそうな程に、強く抱きしめる。
そう、嫉妬の限り、めいいっぱいに…-。
おわり。