デートストリートバスケの大会から、一週間…―。
ヴォタリアの空には、相変わらず濃い雲が垂れ込めている。
けれども……
ウェディ「……」
セロ「……」
今、この場には、曇天よりもさらに重い空気が漂っている。
(どうしよう……まさかこんなことになるなんて)
ストリートバスケの大会後、二人から同時に遊びに行こうと誘われた私は、どちらか一方を断るのも気が引けてしまい……結果、こうして3人で過ごすことになった。
(二人共、試合の時より雰囲気が悪いような……)
重苦しい空気に、つい軽くため息をつくと…―。
ウェディ「どうしたんだ!?疲れたのか?」
セロ「どこかで休憩でもするかい?」
ウェディ「うるせェ!テメェは口出すんじゃねェ!今はオレがしゃべってんだろ」
ウェディくんは、セロさんには渡すものかとでもいうように、私の体を抱きしめる。
○○「っ、ウェディくん!?」
ウェディ「……だって、○○がほかのヤツとしゃべるの嫌だ……」
○○「えっと……」
(どうしたらいいんだろう?このままじゃ……)
○○「あの、私、喉が渇いたから何か飲み物を買ってくるね」
セロ「ああ。それなら、俺が…―」
ウェディ「オレが買ってきてやる!」
そういうなり、ウェディくんはその場から駆け出してしまった。
○○「……」
セロ「……」
気まずい沈黙が、残された私とセロさんの間に広がる。
(ど、どうしよう。何か話さないと……)
その時だった。
セロ「○○さん!」
○○「えっ……!?」
セロさんは、いきなり私を抱きしめ……その一瞬の出来事に、私はすっかり固まってしまう。
セロ「すみません……その……あなたみたいな人って、このヴォタリアにはいないから……。 一目見た時から、好きになってしまったんだ……」
(え……!?そ、それって……)
驚いて顔を上げた、その時…―。
私の視界に、こちらを呆然と見つめるウェディくんの姿が飛び込んでくる。
そして……
ウェディ「な……お、お前ら……っ」
○○「! ウェディくん……!?」
ウェディくんの表情は、見る間に険しくなり……彼の足元は、紫色の霧が立ち上り始めた…―。