第1話 マジで可愛い

罪過の国・ヴォタリア 宙の月…―。

その王子様が目覚めたのは、闇の濃い夜のことだった。

??「うぅ……お前が俺を目覚めさせたのか……?」

目覚めたばかりの王子の目が私を映した瞬間、星一つ見えない夜の中で流れ星のように瞬いた。

??「すげェ……マジで可愛い、まぶし過ぎる……」

○○「え!?」

??「あっ、いきなり悪ィ!オレはウェディ。罪過の国の王子だ」

ウェディ「お前、今度オレの国に来てくれよ!お礼するから!!」

○○「は、はい」

立ち上がるなり、彼は私の手を力強く握った。

ウェディ「よし、約束したからな!必ず来いよ?絶対だぞ!!なっ!」

彼は握った手を大きく振りながら、輝く瞳で何度も繰り返す。その勢いに、私はすっかり気を呑まれてしまっていた。

そんな出会いから、一週間…―。
私は彼との約束通り、罪過の国を訪れた。

(ここがウェディくんの国?少し怖いな……)

ヴォタリアは、罪人を収容する監獄がある国だと聞いている。
その暗いイメージの通り、街は昼間でも深い霧に包まれていた。
不気味なものを感じて、心細い気持ちで歩いていると…―。

??「パス!よこせよ!パス!!」

??「よし、頼むぜウェディっ!!」

(今の声は?それに、ウェディって……)

街の雰囲気には似つかわしくない、楽しげな声が聞こえてきた方へと向かう。

すると……

○○「!!」

その瞬間、男の人の影が私の身長よりずっと高く跳び上がった。

(嘘、あんなに高く!?)

ウェディ「うらぁっ!ゴールッ!!」

その声で、私はようやく状況を理解する。

そこはストリートバスケのコートで、今しがたダンクシュートを決めたのは、私をこの国に招待したウェディくん、その人なのだった…―。

 

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